自由詩:葉噛みのニコチアナ

ひそかなる星芒せいぼう

タバコを噛み輝き増す

乙女のおもいはかの英雄えいゆう

悪食あくじきばかりにささげども

決して明かさず

まったく見せず

すべての内で身と枯れる

花精かせいの花精サラセニア

の甘きをつかもうと

伸ばせど伸ばせどそのてのひら

届かぬと知りまた一枚噛む

遠く木々の隙間に見える

かの美麗びれいなる悪食の肌

柔らかき笑顔

そのせい

重きまぶたを落としては

微笑ほほえみ花の群れをあとにする

黄昏たそがれ木漏こも

花なき枯れ道

ゆっくりあゆみを進めては

一滴いってきの涙にもう一枚


静かなる月影つきかげ

タバコ葉を噛み想いしずめる

乙女のまゆは地平線の

たゆまぬ直線描けども

心はゆが

想いは高まり

すべて彼の内で身と枯れる

甘き甘きサラセニア

乙女の想いを知るか知らずか

其の夜となりに腰下ろし

ともに葉を噛み語らった

己のかなわぬ虫の強者つわもの

タバコ葉の効能

散りゆく花たち

重きまぶたでうなづけど

なまりの瞳はまばゆく輝き

想いのしずくは枯葉に落ちる

月に見た一粒を

甘き指がぬぐ

ことなき接吻せっぷんわし

蜜のひとときをもう一度いちど

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