自由詩:放浪のタラクサクム

木漏こもれ日をなぞり

ひとつ彷徨さまよ

かげを知るのは数えるほどか

陽光ようこうのような魂は

どの花の星芒せいぼう

微塵みじんも照らさぬ孤独星こどくぼし

あまたの魂まばゆそらにすら

の輝きはそう見つからぬ

もし風なぞる金髪きんぱつ

目にし言の葉わすなら

愛はむすばれいくさに傷なく

運命さだめすら変わるとつた

ゆえに髪のひとすじ

ふところいだく花もあり

幸運の願いをたく

会えずつかめぬ一輪いちりん

この手に一本のむくいあれ


きんせて

ひとつ旅立たびだ

眉目みめを知るのは数えるほどか

月影つきかげのような魂は

どの乙女の星芒も

映さず映らぬまよい星

花たち咲きみだる森にすら

彼の安寧あんねいは見つからぬ

その風に舞う白髪はくはつ

つ種の最後の輝き

愛も知らず戦も知らず

運命のみ知ると言う

ゆえに金じりのひとふさ

ひとときの故郷こきょうに残し

幸福の願いを其に託す

えず止まらぬ一輪よ

その手に綿毛わたげ祝福しゅくふくあれ


木漏れ日をなぞり

ひとつ彷徨う

乙女を知る者はなし

風のような魂は

その花精かせいの星芒も

あわく見当たらぬくずの星

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