自由詩:青光見るジニア・己に呪われしアネモネ

その乙女おとめ星空にあざややかなるき顔を向け

水面みなもに浮く紅葉こうようのごとし

ながむはある青き若星じゃくせいのみ

彼ははかな花精かせいの魂

まぶしき地上のおも

乙女の赤光せきこうついす乙女

己に呪われしアネモネ

まどろみの季節に咲きほこ

長きはなざかりに散る花

まどろみにやさしき夢のごとく

花盛りに鮮明せんめいな現実として

乙女のうれいをながいろど

夜空に伸ばす手のひらに

かせど掴めぬ想い出は

永久とわ知る乙女の変わらぬ運命さだめ


その花乙女に色なき笑顔を向け

ゲッカビジンの花のごとし

眺むはある青き乙女のみ

彼は無邪気むじゃきな花精

眩しき笑みをたた

花の憂いと対成す花

ジニアのまわりをけるアネモネ

初夏しょかに彼のあらわす花は眠れど

彼の身は運命に枯れのぼ

春の夜の夢のごとく

ともに寝そべる丘のくさむら

星見て過ごす最後の夜に

星空をさす指先に

花弁かべんとともに砕け昇りゆく乙女の体は

決して掴めぬ乙女の運命

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