自由詩:星映す白煙のミラビリス

星空の戦場いくさば

白煙と舞う蝶羽ちょうばね

夜咲く花の乙女のほこ

その白肌しらはだかすみのごとき

肢体したい強者つわものどもおご

食らいほふろうと思えども

を天におくる者なし

しかれどそれゆえ虫精ちゅうせい

彼の蜜を求める者多し

白肌に傷つけにじみ出す

蜜は甘美で純粋で

目前もくぜんに星空を見るという

噂に踊る虫たちは

今宵も星の白煙にむせ

弱き花は星空に舞う

白煙を衣とし


陽光ようこうの眩しき森に

枯葉の寝床で眠る蝶羽は

憂いを知らぬ乙女の誇り

枯葉を踏み鳴らし談笑す

友たちをまどろみの中

桃色交じりのその白き

髪を風にもてあそばせ

喜び噛み締め深きに落ちる

ふしなき胡蝶こちょうの見る夢は

まぶたの裏の暗闇に

まばゆき星を描いては

ひとつひとつの光明こうみょう

恋し結んで想いをつむ

ふたつの星が結ばれるように

弱き花精かせいは陽光に眠る

友の恋を子守唄とし


星の目覚める黄昏たそがれ

夜を恐れる蝶羽は

見目みめうるわしき乙女の誇り

戻り林床りんしょうに蜜こぼす

花盛はなざかりの乙女らに

その白肌をかやの葉で切り

滲んだ蜜を舌へと垂らす

ささやかなる小さき癒し

命の戦に故意にはできぬも

傷つく花精は待ち望む

甘美で純粋なるそのしずく

白く無垢なるその笑みを

癒しになごむ花たちの

交わす言の葉手に取れば

弱き花精は黄昏に笑う

友との時を蜜として

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る