第374話:成長の証 前編
グレアルーヴがジェンドメンダを倒す際、セレネイアが初めて
二度目となる今回は違う。セレネイアが自らの強い意志によって放つ。魔力制御もセレネイアが主となり、
ここまでの主従関係が完全に逆転した形で行使するのだ。だからこそ、失敗は絶対に許されない。
≪セレネイア、しくじるんじゃないわよ。私が見せた
セレネイアの
「おのれ小娘、その程度の攻撃で我を倒せると思うなよ。我は
≪護る術があろうとなかろうと、私の雷光の前では無意味よ。さあ、滅びの刻よ≫
唯一の不安があるとすれば、セレネイアだ。正確に言うならば、セレネイアの魔力が
一万ルシエは
そして、もう一つだ。セレネイアに
「
セレネイアは
上空でセレネイアの一挙手一投足を見つめているカランダイオは気が気ではない。
「瀬戸際ですね。勝負の分かれ目ですよ。貴女がここまで刻んできた努力は決して裏切りません。ですが、そうではないのです」
成長途上のセレネイアと、ある意味でほぼ頂点に立つ
≪セレネイア、魔力をしっかり制御して、まずは雷光の威力を一定に保つことに専念しなさい≫
≪セレネイア、威力が落ちてきているわよ。焦らずに魔力を正しく循環させなさい≫
セレネイアの
「セレネイア姫、踏ん張ってください。もう少しで貴女の刃が届きます。だから、もっとよく視てください」
集中状態のセレネイアの耳に、アメリディオの叫び声が飛びこんでくる。
セレネイアにとって、アメリディオは何とも不思議な存在だ。セレネイアが生まれる前から第九騎兵団を率いているという。彼と顔を合わせたのは、第一騎兵団副団長から団長に昇格した際が初めてだった。
先にも触れたとおり、第九騎兵団は特殊な存在、ラディック王の
それがカランダイオであり、同時にアメリディオがエルフ属だとセレネイアが知るのは、この戦いが終わった後になる。
「セレネイア、魔剣制御に気を奪われるあまり、ヴォルトゥーノ流の真髄を忘れるなよ。魔力をも自然の中に溶けこませ、もっと視界を広げろ。お前ならできるはずだ」
上空でヨセミナが
「丸投げですか。仕方がありませんね。任せろと言ったのは私ですし」
渡りに船とはこのことか。カランダイオも同じことを思っていた。そうそう何度も手助けするわけにもいかない。彼女のためにならない。この程度の戦い、本来であれあ独力で乗り越えてもらわなければならない。
≪何をしているのです。アメリディオの言葉が聞こえませんでしたか≫
カランダイオからの
≪もちろん聞こえていました。剣軌も視えています。ですが、これ以上よく視ろと言われても。私の力では
指摘を受けた
≪何を甘えているのです。貴女が
魔力循環は滞りなく行われている。それはすなわち、セレネイアにさほど大きな動揺がないという表れでもある。
思考の間にも時間は刻一刻と過ぎ去っていく。それをよいことに、
漆黒の邪気が幾重にもなって
≪セレネイア、時間がないわよ。残り五ハフブルよ。それ以上は貴女の身体がもたないわ≫
ソリュダリアの道場で初めて
(本当にまだまだですね。私は多くの人たちに支えられている。だからこそ、その人たちの期待を裏切るわけにはいかないのです)
視界を封じたことによる副次効果はすぐさま表れている。
ヴォルトゥーノ流の真髄は全ての感覚を自然と一体化させることによって発揮する
魔力を循環させ続けるセレネイアの閉じた瞳の中に、
(これは。これまでの戦いで、皆が少しずつ
複雑に
≪セレネイア、遅いわよ。ようやく真の剣軌を
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
大変お待たせいたしました。
ようやくマイコプラズマ肺炎の症状も落ち着きつつあります。7000文字近くになったため前編と後編に分割しました。後編も書き終わっているので、明日の正午に公開いたします。
これでようやくセレネイアたちと高位との戦いは終了、いよいよ皆既月食を迎えます。
引き続きご愛読いただければ幸いです。なお、この部分は後編公開後に削除いたします。
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