第340話:ヒオレディーリナの失踪の理由
ヒオレディーリナは
ヒオレディーリナほどの強者であろうと、
ニミエパルドとケーレディエズ、二人から視線を外していたヒオレディーリナは気づくのが
二人の核から制御不能なほどの
≪私はやられたらやり返す主義です。ルシィーエット嬢、二度も私を焼いた代償は高くつきますよ≫
空間を越えて
≪まだ生きてたのかい。
灼青炎は主物質界最強の炎であり、焼き尽くせないものは存在しない。あらゆるものが瞬時にして無に帰すほどの超高熱炎だ。にもかかわらず生存している。考えられることといえば唯一だろう。
≪
フィアが事もなげに言い放つ。ルシィーエットは憤怒の顔を
≪ディーナ、済まないね。この私の手でと思ったけど、仕留められなかったよ≫
≪さすがルシィーエット嬢と褒めておきましょう。炎の威力があの時とは比べものにならない。ですが、私もさらに強くなっているのですよ。貴女を上回るほどにね≫
声を聞いているだけで苛立ちがさらに増してくる。人の神経を逆なでするに
ルシィーエットは強く唇を噛みしめている。この状況下で何もできない無力な己が無性に腹立たしい。
≪さて、この二人が最後の
言いたいことだけを言って、早々に
≪待ちなさい、ジリニエイユ。この二人が最後の
ヒオレディーリナの
≪ヒオレディーリナ、とてもではありませんが貴女を
ジリニエイユの言葉どおりだった。
≪ニミエパルドとケーレディエズがどうなっているか。私を裏切った結果ですよ。貴女はこの原理からはぐれた唯一の存在です≫
ジリニエイユはヒオレディーリナの強さに一目置いている。
ジリニエイユは愚かではない。
≪私は
ルシィーエットよりも先だ。ヒオレディーリナが間髪入れずに
≪お前に戦う意思がなくとも、私にはお前を殺さなければならない理由がある≫
ヒオレディーリナが
いくらヒオレディーリナがエルフ属の中で最も不老不死に近い特異な存在であろうと、
≪私の愛する
ルシィーエットは無論のこと、
≪ディーナ、あんたが突然私の前から消えた理由は≫
≪また異なことを。私が貴女の末妹を手にかけたとは、いかなることでしょう。そもそも、貴女に妹がいるなど初耳ですよ≫
しらを切っているようには感じられない。目的のためには手段を一切選ばない男だ。殺した者たちのことなど覚えてもいないのだろう。
≪今からおよそ二百五十余年前、ルーに左腕を焼かれたお前はどこに逃げこんだ≫
ジリニエイユからの返答はない。応えられないのか、あるいは応える意思がないのか。
≪お前に代わって私が応えよう。私の故郷たるタトゥイオドの里だ。その最奥に里の者でもごく一部しか立ち入れぬ
なおも言葉は返ってこない。沈黙は肯定でもある。ヒオレディーリナは確信をもって最後の
≪私の可愛い末妹メルティエーラはまだ五十にも満たない年齢だった。彼女が生まれた際、私は身内で唯一、
ようやく反応が戻ってくる。
≪古代エルフ王国の中でも、極めて高貴なる者のみが行使できるとされる
≪もはやお前は私から逃れられない。首を洗って待っているがよい。必ず殺してやる≫
ヒオレディーリナの右手が光のごとき速さで動き、
ジリニエイユがいたであろう宙めがけて
ヒオレディーリナとジリニエイユの思いもよらない
≪ヒオレディーリナ、いつまで私をこき使うつもりなの。この二人の対処は任せたと言ったはずよ。これ以上の邪気の放出は≫
反目している二人であっても、目的を
≪悪かったわね。この二人を制御してくれて感謝するわ、フィア。あとは私が責任をもって対処する≫
礼など不要とばかりに軽く手を振ってフィアが身を
直後、
セレネイアたちのいる場所からでは何が起こっているのか全く視認できない状態だ。
≪余計なことを。私を誰だと思っているのよ≫
そうは言いながら、
≪あら、
途端に顔を
≪フィア、上等よ。あとで勝負してあげるわ。大人しく待っていなさい≫
≪それは楽しみね。その前に成すべきことを成しなさい。ヒオレディーリナ、私に頭を下げる気になったのなら、いつでもそうしていいわよ≫
仏頂面を浮かべたヒオレディーリナとの
ヒオレディーリナでさえ捉えられない特殊な
≪急ぎなさい、ヒオレディーリナ。もう時間がないわよ≫
二人は
二人は辛うじて残った人としての自制心によって邪気を制御しているものの、限界に近づいている。これ以上、邪気が
恐らくは、ニミエパルドがケーレディエズの核を奪い去り、
そうなってしまえば、二人に取れる手法は一つしかない。
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