第251話:パルゼレニエスの力
光は
ヨルネジェアが創り上げた
≪ここまでは順調ね。問題はあれね≫
イプセミッシュの身体は
残された問題は、
これではきりがない。もとを断たねば堂々巡りだ。ヨルネジェアも十二分に承知している。敵は
「お前は私が倒すわ。その厄介な能力も奪ってね」
強く握り締めた
ヨルネジェアは再び左手のひらを開く。吸い寄せられるかのように光が集う。
"Naksadeje osmuby naseiv."
七色の光が宙に溶け、混じり合っていく。そこに調和は見られない。七色だけではまだ足りないのだ。
≪ヨルネジェア、貴女の力で
しかも、完全状態である
ルブルコスはヨルネジェアの様子を観察し続けている。
(我が神が認め、授けているのだ。私が気を
分かっていながらも、ヨルネジェアの不安定さを見るに
(妖精王女殿が視ておられる。私の出番がないことを願うばかりだ)
何かあってからでは遅すぎる。ヨルネジェアには妖精王女がついている。心配は無用だ。
ルブルコスにとって重要なのはイプセミッシュであり、ヨルネジェアが救出に失敗した時には即座に動く。準備に抜かりはない。
(妖精王女様の
心の
ヨルネジェアは想いを
全ての色が溶け込み、混じり合い、調和という名の均衡をもって形作るのはまたもや一本の矢だ。先ほどとは色は無論のこと、形状まで異なっている。
一射目同様、ヨルネジェアは
(限界が来たか。さすがに
ルブルコスが
≪ヨルネジェア、もう少しの
その先の言葉は言えない。妖精王女には、ただ視ているだけしかできない。こうして声を届けるだけで精一杯なのだ。
いくら妖精が活動しうる空間に構成し直しているとはいえ、妖精王女が暮らす館内と完全に一致しているわけではない。館以外で妖精王女が顕現するには特殊条件を幾つも満たさなければならない。
顕現できない己を、最も必要な時に直接ヨルネジェアに力を貸せない己を、もどかしく思うしかできないのだ。
≪ネスカレプリーヌ、我が力をもって汝の顕現をここに許そう。そなたの愛する者を助けるがよい≫
次の瞬間だ。ダリニディー森林最深部に建つ妖精王女の館と半球空間を
彼女の身体は
即座に右手をヨルネジェアのそれに重ねて
≪ルブルコス≫
≪
全ての準備が整った。ヨルネジェアとネスカレプリーヌ、二人の力が合わさることによって
≪
合図が来た。二人は重ね合わせた右手を高々と
"Hviednzy lukka-shiwp"
矢尻に添えた左手が解放され、引き絞られた
一筋の矢が半球空間頂点位置で無数に分裂、そして矢の向きを変える。標的は当然、高位の全身であり、
分裂した矢が下降に転じると同時、
この力の前では、あらゆるものが無効化される。
「終わったな」
ルブルコスの
絶対力たる
核の存在など許されるはずもなく、矢が触れるや
全てを見届けたネスカレプリーヌが背後からヨルネジェアを優しく抱き止める。
「ヨルネジェア、よくやったわ。
意識をほぼ失いかけていたヨルネジェアが顕現している妖精王女ことネスカレプリーヌの姿を見て固まっている。
これは現実なのか、それとも幻なのか。幻なら自分は
「い、痛いです、妖精王女様」
苦笑を浮かべるネスカレプリーヌの表情を見て、これは現実だとようやくにして
「いつまでも
彼とは、言うまでもなくイプセミッシュだ。そのイプセミッシュは微動だにしない。何しろ心臓に
最後の仕上げとは、心臓から
ヨルネジェアは緊張の面持ちのまま、ゆっくりとイプセミッシュに向かって歩み出す。
妖精王女もルブルコスも、ただただその様子を黙して見守るだけだった。
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