第246話:世話を焼くルブルコス
ルブルコスは
今も二体の
初撃で勝負がついたも同然だった。
抵抗の時間など与えない。
ロージェグレダムが
通常、最低でも十の核を所持してこそ
明らかに、この
「失望だ。歯ごたえのある
意識は大峡谷の対岸に飛んでいる。すなわち、ロージェグレダムの戦いにだ。
「対岸に行くべきであったな。
ルブルコスとて、ロージェグレダムの剣技の全てを熟知しているわけではない。
三剣匠は三賢者同様、単騎で行動することが多く、三人が
さらに剣匠は固有剣技も持ち合わせている。それらは絶対奥義として
「予想外の展開だな。
魔力のごく一部を対岸に
二体の全身は
吹き荒れる雪氷嵐は二体にとって、まさしく友だ。雪氷が身体をさらに強化し、嵐に乗って自在に
神秘的に
粘性液体の身体を再生も許さず、完璧なまでに機能不全に追いやるには二つの方法がある。
標高三千メルクにおける気象条件はルブルコスにとって、何よりも
そういう意味もあって、ルブルコスは失望し、外れを引いたと思っているのだ。
「早々に終わらせて」
そこで思考が途切れる。
予想していたとはいえ、これほどの短時間で上がってくるとは思ってもいなかった。
「世話のかかる小僧だ。ならば、よい機会だ。あ奴に
トゥウェルテナの坑道での戦いもそうだ。ルブルコスは助言こそすれど、決して直接力を貸すような真似はしない。仮にも一人の武人であり、
剣匠たるルブルコスと彼らとでは明らかに実力差がありすぎる。まさに対峙している
ロージェグレダムにいかほど鍛えられたか、さらには手にする剣が
「さて、我が神の導きはどうであろうな」
イプセミッシュはルブルコスまでおよそ五十メルクのところまで接近していた。彼の目には空を自由に
吹き荒れる雪氷嵐で視界が
≪イプセミッシュ、相応の覚悟をもってここまで来たのであろう。お前にはこれから単騎で
ルブルコスのとんでもない要求、むしろそれは命令だろう、が飛んでくる。この状況下でいきなり
一方で
次期国王といえど、イプセミッシュもまた武人、しかもゼンディニア王国が誇る十二将筆頭なのだ。ここで奮起せずして、いつするというのか。
≪ルブルコス殿、承知いたしました≫
気負いはない。冷静でいるようだ。ルブルコスはひとまず安心すると、小さく
≪お前のいる位置から右前方二十メルクだ。そこまでは
(
やはり心配性のルブルコスなのだ。
イプセミッシュを
(全ては小僧の力量次第だな)
二体の
雪氷嵐を切り裂くがごとく、二体の
ルブルコスでさえ、その真の意味を理解できない
イプセミッシュは
すなわち、二体の
ビスディニア流は己の肉体を極限まで
(お膳立てはしてやった。
イプセミッシュが二体の
ルブルコスは
(我が
ルブルコスが
「ルブルコス、そなたには感謝してもしきれぬ。今も息子イプセミッシュを見守ってくれるか。そして、そなたに告げられぬまま私は死んでしまった」
吹き荒れる雪氷嵐の中、ウェイリンドアの声だけが明瞭に聞こえてくる。
「死の間際、命の
妖精王女による
「そうであったか。まさしく奇跡だな。一方通行のな」
記憶を封印されたままのイプセミッシュには、亡くなった国王ウェイリンドアが実父だと知る由もない。だからこその一方通行なのだ。
「ルブルコス、我が息子を頼む」
そして、イプセミッシュと
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