第165話:氷雪狼と氷霜細降龍凍
ロージェグレダムを前に、なす
「
剣身から
「引き裂け
自由を得た
狩りが始まる。追い込む必要もない。獲物はほぼ動けない。その中で、後方に陣取っていた
「ほう、これは嬉しい誤算ではあるな。雑魚とはいえ、
目敏く見つけたロージェグレダムが、遠慮なく横取りしようと
「おい、ルブルコス、
後方に下がっていたロージェグレダムが食いついてくる。自分の仕事は終わったとはいえ、物足りなさを味わっていたからだ。
「よかろう。真ん中の一体だ。くれてやる。好きに始末するがよい」
ルブルコスにしては珍しい。気前よく
本来なら、
「おお、気前がよいの。では有り難く頂戴するとしようぞ」
「元気な爺さんだな。譲ってやったのだ。せいぜい私のために働いてくれ」
不敵な笑みを浮かべたルブルコスは、二体の
二体は完全に狩りを楽しんでいる。等しく高速で走りながら、時には離れ、時には交錯しつつ、体を入れ替え、空を行く。
宙に描かれる白銀青の弧の下は、想像を絶する生き地獄が展開されている。
「相も変わらず容赦ないの。滅するのが我らの使命とはいえ、奴らが気の毒でならんわ」
雪氷の尾が通り過ぎる
粘性液体で構成されている以上、凍結の効果は絶大だ。液体はすぐさま固体となり、瞬時に全身へと広がっていく。そこへ鋭利な
二体の
次なる標的は、雑魚の後ろに陣取る
「多少なりとも知能はあるか。足元から凍結したとしても、自らの手で即斬り落とすつもりであろう。粘性液体が尽きぬ限り、再生し続ける。だがな」
ルブルコスが初めて
揺らめく極光幕は、
維持するためには、莫大な餌を供給し続ける必要があるのだ。
過去、
レスティーは明らかに別格として、
当時のルブルコスには、見守る以外に何もできなかったという
「何とも美しいの。
ロージェグレダムが感嘆の声を上げている。二体の身体は、今や
極光幕は、さらに多様な色が重なって揺れ動いているものの、
「当然だ。極光幕には、
顕現した時よりも、さらに力を増した二体の
それを存分に活かした戦術こそが、彼らの最大の武器だ。二体が
「
天を垂直に翔けていく
同時、細氷柱が雨あられのごとく射出される。威力は息吹が、速度は細氷柱が上だ。
細氷柱が左右に陣取った
次に襲い来るは、氷の息吹だ。凄まじい勢いで駆け下りると、
「おい、こら、ルブルコス、儂を殺す気か」
ロージェグレダムが、駆けていく
見れば分かる。決して、氷堤はロージェグレダムの足元を浸食していない。等円状と言っても、真ん中に立つ
「ロージェグレダム、もはや目も
あまりの威力に笑いが止まらないルブルコスに向かって、ロージェグレダムが叫んでいる。
「儂は、何も衰えておらぬわ。儂の力の
ロージェグレダムが初めて見せる構えだった。
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