第10話「今日は一緒に寝る?」
「今日は一緒に寝る?」
「は?」
夜ご飯の洗い物をしていると、のんびりとテレビを見ていた小雪が、不意にそんなことを言い出した。思わず僕の手も止まる。
「だから、一緒に寝ようって」
「いや、どうした? なんか今日距離近くない?」
風呂のあたりから今日は少し距離が近い。小雪はここまで気分屋だとは思わなかった。
錬成した人間とはいえ、性格までは生活していく中で育つらしい。
「だって私彼女だし?」
当たり前のように小雪が不思議そうに首を傾げていう。
「彼女だからなんでもしていいってわけじゃ……」
「寝たくないの……?」
「いや、そういうわけでは……」
今度は不安げな声で聞いてくる。少しかわいそうだからフォローしようとすると、少し調子に乗る。
「それなら一緒に」
「寝ません」
「なんでぇ」
がっかくし、と小雪が項垂れる。
「その、体に毒と言いますか」
流石にかわいそうかと思い、ちゃんとした理由を誤魔化しながら述べる。
実際、彼女の体は完全に僕好みに作ってあるわけで。そんなと寝たら理性がもつかわからない。風呂場は逃げ出せたからよかったが、ベッドとなると……別に逃げ出せはするか。
ただ襲った場合、きっと彼女は僕を許すだろう。
それだけは彼女作った、僕の中のある種の“親”みたいな部分がそう伝えていた。
「私の体に毒なんて仕込まれてないよ? 錬太郎くんが一番よくわかってるはず」
僕が言った意図がいまいち掴めなかったのか、不思議そうに自分の体を弄る。
「そう言う毒じゃなくて」
「えぇ?」
「……はぁ、わかったよ」
「わーいやったー! ベッドの準備してくるねー!」
これ以上は無意味な抵抗と悟り、渋々——少なくとも言葉の上では——了承するのであった。
だがどうしても、体は正直らしい。
小雪がベッドの準備をしに部屋へと向かったのを確認して、洗い物をほっぽって、まっすぐ僕はトイレへと走った。
錬成彼女〜彼女が欲しかったので創ったら色々凄いことになりました〜 桜城カズマ @sakurakaz
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。錬成彼女〜彼女が欲しかったので創ったら色々凄いことになりました〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます