第33話 人を出迎える神(2)
補講最終日、早々に学校から帰ると三人はみなもの祠の前に集まった。
「みなも東門仙から封書を授かったよ。みなものこと気にかけてたよ。明日、発つのだけど雪神様に会うにはどこに行けばいいの?神社にいけばいいの?」
実菜穂は、どうしても雪神は水波野菜乃女神やアサナミの神のように神社に行けば会えるような気がしなかった。
『そうじゃな。お主たちなら社の場所も心得ておろう。雪神は姉さの社に近い。じゃがな、案外そこにはおらぬ。その奥にある
みなもは実菜穂と神霊同体に成り、言葉を伝えた。
(白新地?)
『そうじゃ。いわば雪神の世界じゃ。そこで雪神は、己の勤めを果たしておるでの。そこには勤めに関係する神や雪神を慕っておる神が集っておる。じゃがな、ここには人はけしてたどり着けぬ。雪神はそういう世界として作っておるからの』
みなもはクスクス笑っていた。
(みなも、意地悪だなあ。そう言われるとたどり着けるか不安になるよ)
実菜穂は、みなもにせっついた。
『心配いたすな。そのために、お主に守りを持たせておる。駅まで出迎えがきておるしの。まあ、お主等が気がつけばじゃが。これは雪神の計らいじゃ。楽しめばよい』
(楽しめるのかなあ~)
実菜穂と陽向は不安顔でお互いを見合っていた。ただ、真奈美は表情を崩すことなく一つ一つうなずいて聞いていた。
(みなも、じゃあ、行ってくるね。水波野菜乃女神の社に行ったときの駅でいいのね)
実菜穂の言葉にみなもは頷き、神霊同体を解放した。涼やかな空気が周りを包む。
(氏神、私も実菜穂ちゃん、真奈美さんについて行きます。その言葉お伝えします)
陽向の言葉に火の神は、厚い希望の光で応えた。
翌朝、実菜穂たちは駅で待ち合わせをしていた。バッグを片手に実菜穂は突っ立っている。昨夜、必死でお守りを入れる袋を縫い上げて、下着にくくりつけられるように細工をしていた。美しい袋を傷つけたくなかったから、二重に入れた形となっていた。これなら無くすことはないし、取り外しも楽に出来るのだ。
三人揃って列車に乗り込む。行程は、実菜穂にとってお手のものだ。列車で少し遅めの朝食を三人で食べていた。しばし、和みの時間が過ぎていった。
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