その5 オーコメ風全文解説

>以下が本文の引用、

 改行した文から解説です。


キャラ整理のために登場人物一覧を再掲します。


・イブンシェルタ

EVEns-sEVEn【同質の7人】

1 我孫水夏(あび・すいな)(?)イブンシェルタ代表

2 馬津冬詩(ばつ・とうた)(19)代表補佐

3 春渡雲(はるど・うん)(?)受付

4 阿邊流秋(あべ・るしゆ)(17)文葦学園高校3年

5 地場李花(じば・りふら)(20)有谷小児歯科クリニック歯科衛生士 先輩

6 樫武射月(かしむ・いるな)(19)有谷小児歯科クリニック歯科衛生士 後輩

7 砂宇土夜妃(さうど・ようひ)(18)有谷小児歯科クリニック事務

移次未知生(うつぎ・みちお)(15)文葦学園中学校3年 美術部

惣戸杏里耶(そうこ・ありや)(15)有谷霜子のルームメイト


有谷霜子(ありたに・そうこ)(15)行方不明の少女

有谷長名(ありたに・おさな)(44)霜子の父 有谷小児歯科クリニック院長

羽太籠牟(はだ・かごむ)(28)文葦学園美術教諭 美術部顧問

尼子屈肥留(あしくつ・ひる)(52)市職員

加見野圭代(かみの・けがわ)(36)芸能プロデューサ


・祝多出張サービス

斎市朱咲(ものまち・すざき)(18)スーザちゃん 二代目店主

胡子栗茫(えびすり・トール)(33)営業部派遣店員

祝多(いわた)(?)ママ 初代店主


・対策課

徒村等良(あだむら・などよし)(30)ムダくん 新人

登呂築礼仁(とろつき・れいじん)(49)課長

瀬勿関シゲル(せなせき・しげる)(?)国立更生研究所長 文葦学園校医


↓↓↓


>お父さんが行方不明になったらしい。

 有谷歯科医師は職場で殺害されたので行方不明にはなっていない。とすると、このプロローグの視点は、有谷霜子(ありたにそうこ)ではない、ですね。


>あなたを搾取する

 本作のテーマですね。搾取への復讐。


>うれしくってソウコちゃんに報告に行く。

 あ、ちゃんと自己申告してましたね。自分は有谷霜子じゃない、と。


>同質の7人

 裏話(上)でも触れましたが、この7人の名前は、世界史でお馴染みのイブンなんたらさんを文字ってます。「同質の」てどういう意味なんでしょうね? 砂宇土夜妃以外は、遺伝子が「同質」かもしれませんね。スイナさんの両親が誰なのか。それがわかるとつながるかなーと。


>内3人は留守

地場さんと樫武さんと砂宇土夜妃ですね。有谷歯科医師を殺しに行ってたんでしょう。


>だけどルシユさんは何もせずくすくす笑ってた。

 彼女だけ別の結末を辿る暗喩ですね。


>その日のうちにケーサツが来た。

 イブンシェルタに乗り込んだ何も知らないムダ君が単身追い返される場面につながるわけです。登呂築課長は知ってたでしょうね。くどくど説明するより体験させた方が早いと踏んだんでしょうね。



第1章 医学はペルシア



>駅から徒歩5分圏内。

 本作の舞台のモデルは名古屋です。駅のイメージは栄です。て、地元民しかわからないですね。苦笑。


>僕にはもうこの道をゆくほか。

 これ、ムダ君がどんな思いでいたのか想像するとアレですね。この冒頭シーンは最終話のラストに、スーザちゃん視点の同じ場面があるので比べてみると面白いかと。


>○○劇場。○○倶楽部。○○バー。

 全部未成年立ち入り禁止の施設です。


>○○。つまりはテナント募集中。

 のちに、対策課の事務所が入ります。てか対策課の事務所は、県警の敷地を間借りしてる掘立小屋と、この雑居ビルの2階を行ったり来たりしてます。


>祝多出張サービス。

 見るからにいかがわしい施設ですね(棒読み


>客でもなければ敵でもない。たぶん味方だ。僕は、ここに仲間になりにきた。

 この文章お気に入りです。まさにムダ君の置かれた状況を的確に表している。


>部屋内は香が立ち込めていた。甘いようなたるいような。頭がぼんやりする。

 最終話で瀬勿関先生が言ってましたが、この香は毒です。吸い続けると頭がおかしくなります。なのでこの匂いを纏う祝多さんをずっと追いかけていたムダ君は手遅れでしょう。スーザちゃんは抵抗力があるというより、麻痺してるんでしょうね。とすると、ムダ君とスーザちゃんの視点は一気に信憑性に欠くことになるわけです。

 いまさら暴露すると、SPEC(ドラマ)みたいな刑事バディものを目指したつもりなんですよ。結果は惨憺たる感じですが。


>女の子は電話をしていた

 電話の相手も最終話のラストでわかります。てかすぐわかりますよね。死んだはずのママから電話が来て若干混乱しているスーザちゃんです。なので「いま手が離せませんの」なわけで。


>「失礼ですが、お名前を伺ってもよろしくて?」言おうとしたら遮られた。「わかりましたわ。いえ、わかりませんけれど」

 これを書いてる当初は、まさか名前を読み間違えてるなんて思いも寄りませんでしたが。ぶっちゃけ、あとからこじつけた感もあったりなかったりで。最終話の解説で詳しく語れるかと。


>「前任者のことはご存じ?」

 胡子栗のことです。ママの現地夫を寝取ったせいで人格を殺されかけた。


>本日付けで二代目を拝命いたしましたの」女の子は億劫そうに髪を掻き上げる。「急に全権を任されましても。長らくママには師事しておりましたが、右も左もわからない赤子同然。そのようなわたくしに一体何ができますの?」

 ここのスーザちゃんは、わざと、やる気のないポーズを取っています。ママからすべてを奪う目的で殺害してますんでね。ムダ君とスーザちゃんはお互いが腹の探り合いをしてるわけです。


>「潜入捜査が得意だと聞いてますが」課長談。「それはわたくしではありませんわね」

 これも胡子栗です。


>そちらの課長さまがうちのママを巻き込んで始めた実験的事業ですもの。前任者が殉職されて当然立ち消えたものと思っていました

 対策課は責任者が変わったり前任者が殉職したりでごちゃごちゃになってます。そのへんのゴタゴタは、4作目の過去バナで触れてたかな? もしくは2作目で当事者の胡子栗がモノローグしてたか。


>ママも一週間ほど前から行方知れずですし。

 ムダ君が対策課に配属もとい左遷されたのも一週間前。


>「悪いことは言いませんわ。殉職なさるご予定がないのでしたら速やかに辞表を提出されることをお勧めします。わたくしもあの事業には疑問を持っておりますのよ」

 スーザちゃんがどこまで本気で言ってるのかよくわかりませんね。


>僕にはどうしても、捕まえなきゃならない悪がいる。

 ムダ君のレーゾンデートルです。


>わたくしの性別を勘違いしてやまない失礼千万な部下がいますのよ。

 裏話ですが、スーザちゃんが実は男という初期設定があったんですが、いろいろあってなくなりました。ちなみに、「失礼千万な部下」も胡子栗です。




>県警としては煙たい眼の上のなんたらでしかないので、失礼があっては困るとかいう名目の下

 ここらへんの経緯も厄介なんですが、本部長の後ろ盾があるので、失礼があっては困る対象は、対策課じゃなくて本部長です。


>「はべはいはらはんひゃくえんはらっへほくれよ」

「食べたいなら三百円払っておくれよ」です。


>「ここで辞めたら彼に申し訳ない。

 彼、と呼んでますね。確かに「彼」で間違いないですが。




>制服は、知らない外国語を見るように手帳を眺めていたが、自分より上の立場の人間だと経験則で察したようで。いまいち知名度が低いのは否めない。

 雑居ビルの門番にもあっさり無視されていましたが、もしかするとムダ君が見せた手帳は、いわゆるケーサツ手帳ではなかったかもしれませんね。という叙述トリックを匂わせたりして。


>課長はどうやって守ったのだろう。一人で戦った?

 一応、前任者の「殉職」に責任を感じてるぽいですよ。


>受付の砂宇土さんが青ざめた顔で質問攻めされていた。

 演技ですね。演技派ですよ、「彼女」は。


>「三十分以内に帰れたらデートしてくれる?」

 デート、つまり、取り調べですね。ムダ君の得意技です。


>あなたホントにケーサツの人なわけ?」

 地場さん鋭い! そうなんですよ、そこです。ムダ君の正体については、いろいろ二転三転しました。


>臙脂色のワンピース。

 是非スーザちゃんが着ている服の色に注目してほしいですね。本作が夏で、最終話が春~夏で終わってますので、四聖獣と対応する四季に合わせて色を変えています。


>オフィス街も繁華街も住宅地も通り過ぎた郊外。田畑と森林と平地。

 イブンシェルタの立地のイメージは、豊川あたりです。


>「モノマチてどうゆう字?物の町? てゆうか祝多さんだと思ってたけど」

 急ですがここでスーザちゃんの名付けの裏話を。

 「ものまちすざき」は「みなもとしずか」のアナグラムです。最初から妹のつもりで設定を作ってましたが、そうか、ムダ君やヨシツネさんに対する想いは名前のせいか。名付けを失敗しましたね(今更)


>「ええっと、なんだっけな」所属している実験的事業の名称がどうしても憶えられなくて

 対策課の正式名称を、「○○対策課」にしなかったのは、2稿目からすでに考えてたネタらしいです。「対○○□□策課」というメモがありました。「対策略的性犯罪非可逆青少年課」です。ややこしいので私もたまに忘れます。笑。


>「アダムラなどよし、さん?そう、それでムダさん」胸のつかえがとれたとばかりにふう、と息を吐き。

 ムダ君の本名は「あだむら」じゃないんですよ。ここでスーザちゃんが「わざと」読み間違えた名前を、「わざと」間違えたまま訂正せずにいたムダ君の本心は最終話で書いてます。人間は名前くらいで生まれ変われますので。某胡子栗とか。


>「女装などしては如何でしょう?」「冗談」

 女装する登場人物が後から出てくるための布石です。このシリーズ、割と女装という言葉が重要になってる気がしなくでもない。



EVEn1


>Q.女装ですか?

 各章のラストに付いてる「EVEn」てのは、同質の七人を取り調べたときの記録です。もちろん、Qはムダ君です。サブタイの数字は登場人物一覧でナンバリングに対応しています。とすると、これはイブンシェルタ代表の我孫水夏ですね。

 本作の視点がムダ君で固定されているので、それぞれの少女について掘り下げるためにこうゆう手法をとりました。それぞれの動悸みたいなものの片鱗が見えるかと。


>Q.その神はある日突然何の前触れもなく失われてしまった「ええ」

 神とは、イブンシェルタ創設者の祝多さんのことです。スーザちゃんが殺したわけです。




第2章 旅行もモロッコ



>ガラス張りの壁越しにジャングルが広がっている。

 イブンシェルタの立地モデルは、豊川だと触れましたが、この外観のモデルは名駅(名古屋駅)近くのビルです。いまもあるかはわかりませんが、変なビルだったので使わせてもらいました。


>「わかった」変身! と、決めポーズをやろうとしたその手を。

 最終話で明らかになるムダ君の前々職。自分が出なくなってもシリーズは追いかけてるんでしょうかね。




>どうも課長の手の平の上で踊っている気がしてならない。

 4作目で出てきますが、祝多出張サービスの奥の部屋には、市内の監視カメラをすべてチェックできるモニタ室があります。なので、課長の推理は、推理というより実際に見たので間違ってないわけです。


>椅子の背もたれが、真後ろの椅子と背中合わせに密着している。片方の人が椅子を引いたら、後ろの人はお腹と背中がくっついてしまう。

 ここもモデルがありまして。豊川稲荷の近くにあります。稲荷寿司が美味しいです。


>誕生日なんだって?」

 本当に誕生日当日なのかは不明です。でもスーザちゃんは夏生まれのイメージですね。


>ケーキはあなた方で召し上がって? お料理も。せっかく用意してもらいましたのに。

 これ、誰と話してるんでしょうね。胡子栗?




>しかしながら、一週間前から行方知れずだとか。

 ムダ君は本当に行方を知りません。もちろん、本人との面識はありますが。


>なるほど。そう略せばいいのか。対策課。悪くない。簡潔で言いやすい。問題は、何を対策しているのかわからないということだけ。

 正式名称は、○○対策課じゃないですからね。


>「校医の瀬勿関だ」

 瀬勿関先生ですが、彼女はもともと別の単発作品の登場人物でした。ヒマシリーズに出ている同人漫画家の女子が崇拝している少女漫画という設定の劇中作です。ただ、何度書きなおしても面白い話にならなかったので、お蔵入りになっていたんですが、キャラは気に入っていたのでここで再利用しました。ビイベシリーズ3作目は、その劇中作が下地になっています。3作目の解説のときにまた詳しくお話しできるかと。



EVEn2


>※少女2

 2番目なので、馬津冬詩さんです。ムダ君の取り調べその2ですね。


>面談よ。されるほうじゃないわよ。するほうなの。待たせてるんだから」

 面談の相手は、スーザちゃんか、ママか、瀬勿関先生のどれかですね。



第3章 政治と歴史のチュニジア



>有谷長名(ありたに・おさな)

 被害者の名前について。全員なんらかのパラフィリア(倒錯性癖)から取ってます。

 有谷氏は小児性愛(ペドフィリア)なので、幼い=おさな(長名)と。安易ですけど、全員そんな感じです。


>ドリルを7本

 なんか意味がありそうですけど、有谷氏の被害者が7人? いや、もっと多いでしょうね。


>羽太籠牟(はだ・かごむ)

 裸・ゴムです。ゴムに執着するパラフィリアがあったはず。専門用語は忘れましたが。


>「父親みたいですね」まさか父親じゃないだろう。

 この台詞、最終話読んでからだとけっこうきっついですね。いや、お前だよ、ていう。


>尼子屈肥留(あしくつ・ひる)

 足・靴・ヒールです。尖ったものに対するパラフィリアです。


>アダムダ君」「徒村です」

 登呂築課長は、ムダ君の言動を監視できてます。なので「あだむら」と読み間違えたことも知ってます。いや、もしかしたらこの「徒村です」はふりがなが振ってないので、「とむら」と云っていた可能性が、ないか。ひどい叙述トリックです。


>「イブンシェルタは、容れ物ごと娘のようなものだよ。娘の声を聞き違える親があるかい」

 これはどこまで本心なのか。


>やってくれるね。私の部下なら」課長が窓を閉めて僕と眼を合わせる。「取り調べ」

 このあとに、各章のラストに付いてる「EVEn数字」ていう節が来るんでしょうね。




>彼女の属する集合ならびに僕の属していた組織からはそうは呼ばれていなかった。

 5作目(最終話)で元公安の彼が言ってたはず。北京と書いて「ベイ=ジン」です。


>彼女が仕事上使用することの多い言語(おもに仕事中の僕と話すときの)は、僕が幼い頃ごく当たり前に使っていた言語(いわゆる方言)と可不足なく会話が成立した。

 簡潔に言うと、名古屋弁です。筆者の故郷ではないのでネイティヴの方からするとだいぶ違うかもしれませんが、何とぞ御容赦を。


>先手を打って、僕を関係のない部署へ飛ばした。

 5作目(最終話)でそのあたりが整理されてるはずです。志遣(しやる)君、いいキャラだったですね(過去形)。


>時刻は21時。

 ムダ君が時計ばっか見てるのは、作中の時間経過がわかりやすくなるかな、という構成状の目論見と、数字に意味を持たせるためです。特に、2作目以降は時計の数字にも注目していただけると面白いかと。


>「潜入捜査ですか」「捜査?てほどのもんでもないよ」男は(男だ)鼻で笑う。

 出ましたね。本シリーズの真ヒロイン。いや、1作目書いてる当時はまさか、このヘンタイ女装狂が正ヒロインに化けるとは予想もしておらず。シリーズに一人はいる、ヘンタイ枠(ひどい)だったはず。初期設定の文章がひどすぎて、もはや公開不可なレベル。苦笑。すいません、裏話暴露とか言っておいて、これだけは無理そうです。ちょっとだけさらすとするなら、複数プレイが好きだったらしいです。どうでもいい情報でしたね。


>「天罰じゃない?」少女が微笑う。「わたしが依頼したの」

 少女は、阿邊流秋さんですね。



EVEn3


>※少女3 無言

 3番目なので春渡雲氏です。


>Q.あれは感じてないんですか。振りですか「射精産業はすべからく演技です」

 けっこうえぐいこと聞いてますね。春渡氏は人間ではなくロボットらしいです。



第4章 哲学へコルドバ




>行方知れずの祝多さんの存在が、彼女とダブってならない。悪の巣窟。

 あれ?このときまだ、「祝多さん」=「タ=イオワン」の図式はムダ君内で出来てなかったでしたっけ?


>裸眼だから見えまい。この距離では。あのレンズの屈折具合じゃ相当の度入り。

 しまった。胡子栗、ド近眼設定だったか。2作目以降でおかしいことになってたらすいません。すっかり忘れてた。汗。


>「死んじゃったらしいね、前任者」「知ってるんですか」

 お前だよ、前任者。ていうツッコミをしておきます。


>「わかってんだけどさ。ホント人のもんは美味そうに」

 この延長で登呂築課長を寝取った、ように見せかけて実は、みたいな話だったですね。このあたりを書いてるとき殉職した前任者が胡子栗だとはまだフィックスしてなかったと思います。一応なんとなくポイントになるエピソードは執筆前に浮かんでるんですが、それを凌駕するもっと面白い展開が浮かんだら簡単に乗り換えます。キャラが動くっていうアレです。なので、こんなはずじゃなかった(いい意味で)ていう話ができあがるわけです。


>黒髪の。白い肌。

 ムダ君が追い続けている悪である「彼女」は黒髪なんですよね。ベイ=ジンは茶髪なので、あれ?と疑問に思っておいてください。ベイ=ジンとタ=イオワンの関係は、家楼の最終話で触れる予定なのでまだ秘密です。


>レンズ越しの鋭い眼差し。

 そうそう、タ=イオワンは眼鏡ありです。


>僕を見る。「課長さまを」

 このときスーザちゃんが言っていた課長は、どっちの課長でしょうね?



>「まだ生かしといたのか」瀬勿関先生がスーザちゃんに言う。

 2作目以降で触れてますが、瀬勿関先生は胡子栗の主治医なので、この台詞は百パ文字どおりの意味はないです。単に「妖怪露出狂」に対する返事です。


>「研究所寄って後ろの甘味料降ろしていいか」

 甘味料というあだ名ですが、胡子栗茫(えびすり・トール)が「エリスリトール」に似てるからですね。


>「寝たふりはいい。死んだふりももういい。所長の私に黙って生かされてた分のツケを払ってこい。暴君課長」

 このシーン、いわゆるキャラが動いた、でして。まさかわたしも胡子栗が前課長だとは思ってなかったので、えええええ????てなってそのあとの話を大急ぎで変えました。「暴君」は胡子栗の名前の「茫」を音読みしてるだけです。

あと実は、登呂築課長をスーザちゃんの父親にするかどうか、直前まで迷ってました。なので話の前半で、やけにスーザちゃんの世話を焼いてるわけです。彼が父親だったかもしれなかった名残です。




>「父は、私の姉を殺しました。だからイワタ様に頼んで同じ目に遭わせてもらったはずなのに。どうして?生きているのでしょうね。祝多出張サービスはそこまでやってくださらないと、わかっていましたので」代表が言う。「そこから先をやっただけのことです。私のイブンシェルタで」

 これが動機らしい動機ですかね。



EVEn4


>※少女4 口籠る

 4番目なので阿邊流秋さんです。

 あとですね、このQだけスーザちゃんです。



第5章 巡礼にグラナダ



>「オズ君は。どこの病院だね」「オズ君?といいますと」病院?「ほら、君が入った。前課長だよ。無事なのか。怪我は」「無事もなにも」なんだ胡子栗か。心配?本部長が。事件のことよりも胡子栗?「すみません。急いでますので」「無事ならそれでいいんだが。ああ、オズ君によろしくね」本部長はにこりと微笑む。あのにこりともしないことで有名なあの本部長が。どんな関係だ。

 長々と引用しましたが、この文章書いた当初、本部長と胡子栗の間にまさかそんなスペクタクルラブロマンス(誇張表現)があるとは。構想はなかったんじゃないかなぁと思われます。キャラが動いたんでしょうね。あとなぜ二言目に「病院」を聞いているのかというと、胡子栗がすぐ無茶して怪我するので、基本は病院か現場にいると思われている。てか、本部長が笑う貴重なシーンですね。作中で何回笑ったかな。ほとんど笑ってないんじゃないでしょうか。


>「ボーくん?」暴君。「あ、はいはい」暴君課長。瀬勿関先生談。胡子栗だ。

 あ、ここで触れてましたね。


>とても数日前に18を迎えた女の子には思えない。18を迎えるだいぶ前に。18などとっくに凌駕する経験を、目の当たりにさせられた。しかも自分の意志やなにもかもを無に帰された状態で。そうゆう百戦錬磨の年季。僕なんか到底及ばない領域を。たった一人で支配している。背負わされている。

 スーザちゃんを的確に表した文章だったので丸々引用しました。ムダ君けっこう洞察力があるので。


>「若造が。死んだ姉に肉体提供したかなんだか知らないが、女のカッコしたくらいでいい気になるなよ」スーザちゃんとは思えない鈍器のような声色。

 ここらへんも、スーザちゃんが実は男だった可能性を残したかった表現ですね。こんなところに書いてもアレですが、スーザちゃんの脳内中の人は、水樹奈々さんです。


>「いやあ、ごめんごめん。メガネのときはあれだけぶっかけるなってゆってあるのに。メガネしてたから儲けたとか思って寄ってたかられちゃってさ。洗ってたら時間かかっちゃって」人類史上に残る遅刻の言い訳の中で、間違いなく最悪の部類。

 いや、本当に。これはひどい。


>「嘘ですわ。わたくしはママから産まれておりません」「そうなの?」てっきり母親かと。

 最終話でさらっと触れましたが、スーザちゃん周りのジェノグラムをきちんとはっきりさせます。家楼シリーズの最終話をお待ちください。


>「単に惚れてたからなんだけどね」胡子栗が腰を上げて、課長を床に転がす。「出会うまでは、んな感じだったよ? それでせーかい。だけど、トロツキに会ってから初代は出張を渋るようになっちゃってね。これじゃ出張サービスの広告に偽りありってことで、かるーいお灸のつもりでね?」奴は寝取った理由を正当化しようとしている。「逆におもーいものを据えられちゃったと、まあそうゆう」

 ここらへんの裏側は、2作目をどうぞ。寝取った理由はもうちょい深いところがあったりなかったりで。




>「お父さんに会いたいんですけど」少女が僕のケータイに向かって。誰と話しているのかお見通しとばかりに。「死んでないんでしょ?ソウコちゃんが言ってた」

 これはどっちでしょうね? あえて混乱するように書いてますので、はっきりと答えが出なくても大丈夫と思います。




>目隠しを条件に同行を許可されたので、詳しい住所は不明。建物の中まで来てようやく視覚を解放されたため、建物の立地条件も不明。だいたい更生研究所とはなんなのか。

 3作目で正式にムダ君が副所長として臨時職務に就きますね。


>「私は。娘とわかっていたらあんなこと。違う。違うんだ。信じてくれ」

 これ、最終話のとある場面に呼応しますね。「こうあってはならない」父と娘の関係性というか。すごく象徴的な台詞です。


>「そうだ。違う。お前は私の娘なんかじゃない。知らない。あんな娘。私の娘は霜子だ。アリタニソウコ。そいつは誰なんだ。ソウコアリヤという娘は」

 入れ替わりトリック。ではなく、なんでしょう。立場を交換して遊んでいた、が近いですかね。双子コーデ的な感覚みたいな。余計に意味不明ですかね。


>瀬勿関先生が立っている。黒の下着姿に白衣を羽織った。

 こうゆうことをしてるから、胡子栗に「妖怪露出狂」と言われるんでしょうね。


>「罪を認めたって駄目だ。何も悔い改められない。お前らにできるのは、ここで、永久に、死ぬまで、いや、死んでも人類の役に立つ有意義な実験と研究にそのつまらない肉体とくだらない精神をささげることだ」

 3作目でもうちょい深掘りしますが、瀬勿関先生の研究のアレです。


>「録画ですか」スクリーンの映像。

 有谷歯科医師は殺されているので、そうですね。ムダ君のお見込み通り、録画映像です。


>「ソウコちゃんを殺します。お父さんをあんなにしたから」

 うーん、彼女はどっちでしょう?


>「課長はここにいますね?」「君は切れ味が良すぎる」

 これもキャラが勝手に動いたやつです。ムダ君がそう言ったときは筆者も吃驚しました。



EVEn5


>イルナがやらなきゃあたしがやってたくらいだし。

 この節はムダ君の取り調べシリーズではないですね。視点の人物は5番目なので、地場李花です。


>天罰は。「スイナさんがいるじゃない?そうでしょ」あたしたちもいる。同質の7人。イワタ様の遺志を継げばいい。

 犯行当時の様子、ですね。動機とか諸々。


>「天罰ね」イルナが包丁を振り下ろす。

 そう。天罰なんです。どうでもいい裏話ですが、この話書いてるとき、「天罰!天罰!天罰!」ていう歌詞の歌が脳内で流れてました。一昔前の曲ですが、ご存じの方いらっしゃいますかね? 笑。


>※少女5

 あ、取り調べシリーズが付属してた。


>「あたし、なんて言った?憶えてないの?」A.夜は避けたつもりだ

 ここまで読むと、Aの人物が誰なのかわかる、という仕掛けにしてました。AはもちろんアンサーのAなんですが、「あだむら」のAでもあったりなかったり。



第6章 発明や飛行をアンダルシア




>「最初はそうだったさ。そのつもりで対策課を立ち上げたし、祝多も巻き込んだ。しかし祝多が死んだ。消されたんだ。ムダ君、きみも第一線を退く羽目になった」

 2話と4話でもう一回整理する予定ですが、この話に出てる課長と、4話に出てる課長は別人です。ややこしいですけど。


>「娘さんを死に追いやったのは、祝多さんですか?スーザちゃんですか」「野放しだよ。それが答えだ」課長が振り返る。

 1話の課長の娘の死云々も若干ややこしいので他の話に持ち越します。


>「惣戸杏里耶でなくて?」「あいつは消えたほうがいい」瀬勿関先生が呟く。

 あの先生ですら匙を投げる患者。それが惣戸杏里耶。




>「君の思い通りに動いてくれて」胡子栗をして。課長と祝多さんの間を裂かしむ。

 2話見ると事情がわかります。ここでのムダ君はぜんぶスーザちゃんのせいだと思っています。


>「課長の娘さんを殺した?」「ええ」「課長の娘になるために」「ええ」

 このへんは、ムダ君がそう思ってるなら合わせようというスーザちゃんの優しさ?です。果たして本当のことを言うのが優しさなのか。


>「ええっと、本当は男?」「いいえ」

 繰り返しますが、スーザちゃんの性別に関してはどっちに転んでもいいように書いていたというか、物語の中で決まるかなと思ってた節がありました。いまは、はっきりと「女」ですけどね。



>一発付き合うという見返りで得た情報によると。

 スーザちゃんの想いはひたすら拒絶するくせに、胡子栗とは簡単に寝てしまう。ビイベ七不思議のひとつ。ではなく、ムダ君と胡子栗の関係は最終話で明らかになりますのでそっちで解説します。いや、たぶん、それなりに深い事情があるんですよ(適当


>「あーそーだ。俺の直属の部下のムダ君としては、やっぱり課長である俺の本名。知りたいんじゃないかな?知りたいよね?」「なんで暴君なんですか」「あーそっち?そっち来る。うーんとね、話せば長いんだけど」

 これ書いてるときはそこまで長い事情があるとは思ってませんでした。2話と4話で詳しくわかります。


>三つの路線が交わる駅。地上から一番遠いところを走っている路線のホームに。電車が止まっていた。

 名古屋で3つの路線が交わる駅ってどこだろう。名駅か、金山あたりかな。



EVEn6


>Q.あなたは樫武射月か

 ムダ君の取り調べシリーズ、少女6、樫武射月です。




第7章 異聞て遺文アラビア


>本部を間借りしている掘っ立て小屋からの引き上げ。前というか現課長の命令で。対策課がなくなったわけではない。対策課の本部が、祝多出張サービスが所有するビルの2階の空き店舗に移った。

 シリーズ通して、対策課は、県警本部の敷地内の掘立小屋と、祝多出張サービスが持ってる雑居ビルを行ったり来たりしてますな。


>紛らわしい手帳。道理で警察内での知名度が低いわけだ。

 どんな手帳なんでしょうね(設定詰めていないことの言い訳


>「祝多さんが?」てゆうか彼女が?

 性別が合ってるような、合ってないような。


>スーザちゃんは、ケータイにストラップ化させていたキーで。課長に誕生日プレゼントにもらった曰くつきのあれだ。僕の家の鍵を閉める。「ちょっと待って」「どうされましたの?お忘れもの」スーザちゃんが。たったいま閉めたばかりの鍵を開けてくれる。

 こうゆう、さらっとした複線回収好きです。


>「○○駅のホームにつながる階段で、有谷霜子さんに突き飛ばされたことは憶えていますか」

 ○が二つなので、金山駅かもしれませんね。3つの内訳は、JRと名鉄と地下鉄ですかね。


>「ねえ、君たちいつから入れ替わったの?」少女は誰もいないほうを見る。「いまの君はどっち? どっちがどっちに突き飛ばされたの?」

 これが今回の肝というか重要ポイントだと思われます。



>クリーム色のシャツにネイビーのネクタイ。同じ色のスカート。

 どこでしょう。他シリーズでも名古屋の学校の制服設定はしてなかったと思うので、どこかのシリーズで使えるネタでしょうかね。

 Hymaシリーズの主人公えとりが通っていた羅城学園高等部は、男子の制服がネイビーのネクタイとズボンなんですが、女子のスカーフとスカートはオレンジなので、違いますね。というか、羅城学園の舞台は神奈川なのでそもそも違ってますけどね。


>「娘を捜してほしい」「家出ではないんですね?」

 これで時間軸がわかりますね。1章1節の前に、イブンシェルタで男子禁制で追い返される前に、有谷歯科クリニックに寄っています。


>「娘がいる場所はわかっている」有谷歯科医が続ける。午後の診察に影響がないように。「宗教の類じゃないかと思うんだが。父親である私でさえ門前払いだ」

 これが、外部から見たイブンシェルタです。



>連日連夜の弛まぬ努力の結果、胡子栗ポイントが順調に溜まってきた。ようやく景品交換にありつける。

 世界一ひどいポイント制度ですね。苦笑。


>「スーザちゃんを対策課から外してください」

 あとの話でも出てきますが、スーザちゃんの籍は対策課にはありません。この時点のムダ君はちょっと勘違いしている。


>「わ。待ってる待ってる。蹴ってよ?高っかいやつね」

 初期設定だと、踵の高いヒールで蹴られるのが性癖だったと思いますが。今は割とどうでもよくなっている設定(遠い目


>「わたくしの生物学上のお母様は」スーザちゃんが言う。「わたくしの生物学上のお父様とここ、日本で出会いましたの。お父様はお母様を長年追い続けていまして」

 ビイベシリーズ番外編『わたしは永遠がほしい』をイメージして書いてたんですが、というか、ここらへんの関係はちょっとまだ秘密ってことで。


>「ママと課長さまでは何事も生まれませんわ」

 これは、ママの性別が男って意味なのか、課長さま(登呂築)が去勢されてるって意味なのか、判然としませんね。



EVEn7

地の文の視点は、7番目の砂宇土夜妃で間違いないですが、これまでのとは違って、ムダ君の取り調べシリーズではないです。Qの発言主が、その都度変わってます。


>イブンシェルタ代表スイナはもう使い物にならない。

 まさかこれの続きを最終話でやるとは、このときは思ってませんでしたが。


>Q.あなたが代表を継がれるのですか

 この質問は、イブンシェルタ代表・我孫スイナです。


>「本来はスザキがその座にいたはず。捻じ曲げられた世界をあるべき姿に戻すだけ」

 んで、「」内で砂宇土夜妃が答えてる、という構図です。

 アレ?ちょっと待って。ヨウヒさん、スーザちゃんを呼び捨ててますね。まあいいか。


> Q.本当に反省したと思う?

 代表補佐の馬津トウタです。


>Q.約束を破った私への罰ですか

 受付の春渡雲です。実は彼女、性産業用アンドロイドていう、本筋とはまったく関係のない裏設定がありました。なので年齢がハテナになっていたというわけです。ところで、約束ってなんのことでしたっけね。いや、ちょっと思い出せないです。ごめんなさい。思い出したらここに追記するかもです。


>あの女装男を吊るし上げて同じ目に遭わせてやらないと気が済まない。

 えらいこと言われてますよ、胡子栗。


>Q.(特になし)

 阿邊流秋です。作中で自殺したので何も喋れないですね。


>Q.次はどうする?夜はダメだけど

 地場李花です。「夜はダメ」ていう発言で、彼女だと特定させる意図がありました。


>Q.射月は生き返るでしょうか?

 樫武イルナです。このつらい世界を生き抜くために、死んだ主人格の代わりに身体の主導権を握っているのが「イルナ」というわけです。


>Q.好きなタイプは?ごめん。冗談。緊張ほぐそうと思って

 次の被害者です。搾取する男がのさばり続ける限り、彼女らはやめないでしょうね。


>「先生みたいな人です」

 こう言って油断させるわけです。


>Q.スーザは元気でやっとる?

 おや?スーザちゃんが殺したはずのママから電話が来た?のか、単にヨウヒの想像上の対話なのか、どっちでもよいです。最終話で、鳴ってない電話と話してた錯乱した課長とかもいたので。


>「はい。僕の理想です」

 これは、どうゆう意味なんでしょうね。なんかそれっぽくまとめようとしてただけかもしれません。深い意味はないと思われます。



 というわけで、長々振り返って参りましたが、くっきりはっきり憶えているところもあれば忘れているところもありつつ、このころのスーザちゃんは本当に楽しそうだったんだなと。どこかにも書きましたが、スーザちゃんにとってこの一年が最も楽しかったのは揺らぎないわけで。ああ、なんであんなことに(白々しい

 言い訳ばっかしてますけど、最終話もあんなオチになる予定じゃなかったので(詳細というか懺悔は最終話の解説でします)さあてどうしたもんかな、と。どうしたもんかなの主語はもちろん、家楼最終話なんですけど。いままさに書いてる途中なので。どうなるんでしょうね。一応ラストはおぼろげに決まってはいますが、途中どんなルートを通るのかは書いてみないとわからんです。

 別シリーズの話を長々しててもしょうがないので、このへんで締めます。

 お次はビイベシリーズ2作目『エリストマスク』の解説です。ご縁があったらまたお会いしましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イヴクロテクス裏話 伏潮朱遺 @fushiwo41

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ