だんだんと心が壊れていく様子を巧みに表現している

・まず、ネタバレにならない程度にあらすじを説明すると、ある日主人公は冒険者パーティーから追放されるも、チート能力に目覚め最強の冒険者になる。ここまではよくあるなろう系小説なのだが、この後主人公は誤って人を殺してしまう。

・この小説は、殺人を犯した主人公の不安定な心情を非常に上手く描写している。犯してしまった罪を隠し、ビクビク怯えながら暮らすところとか。罪を償おうという気持ちはあるのに自首はしないところとか。誰にも打ち明けられずにひたすら苦しい日々が続いているところとか。
・耐え難い罪悪感によって、だんだんと心が壊れていく様子が巧みに表現されている。

・この作品は面白い。もちろん、こういう人の心が壊れていく姿を見るのが好きな人っていないと思う。(いないよね?)でも、この作品が魅力的に感じるのは、ひたすらに、主人公の周りにいる人間が優しいからだと思う。いつか主人公が自分の罪を打ち明けて幸せに暮らしていける未来を確信しているからこそ、主人公を応援したくなるし、先を読みたくなる。
・苦しみ続けて、感情がぐっちゃぐちゃになっていく様子を見たい人にはおすすめです。ラブコメもあります。ラストはきっとハッピーエンドです。