宇宙船
Kyo
青い星
「ねぇ、お母さん!」
子どもはいつも通り元気だった。周りは暗いというのにいつもの調子だった。窓の外を見ながら聞いた。
「一体どうしてお星様は色んな色があるの?」
子供らしい無垢な疑問に母親は優しげに笑って答えた。
「お星様はね、燃えてるのよ。炎にも赤いのと青いのがあるみたいにお星様も赤いのや青いのがあるのよ。」
子どもは一瞬納得の色を顔に浮かべたが、また次の疑問が湧いたようだった。
「赤いのと青いのはなんで色が違うの?」
母親は(この子は将来きっとエジソンみたく偉くなる)と、親バカなことを考えてから、優しく教えた。
「温度が違うからよ。お星様も炎も熱いけど、熱いのは赤色、とっても熱いのは白色になるのよ。」
子どもは理解できたようだった。親バカでなくてもこの子どもは賢いのかもしれない。また、子供が尋ねる。
「じゃああの青いお星様はとっても熱いの?」
そう言って指差す先には青い星があった。
「そうね、とっても熱かったわよ。」
「昨日のお風呂より?」
「もちろん。」
「今朝のスープより?」
「ええ、もっと熱いわよ。」
「お星様が燃えてるの?」
「燃えてるというより爆発したのよ。」
親子は青い星を眺めていた。母親は(子どもにはさすがに難しかったか)と、窓に反射する子の顔を見ながら思った。普通の恒星は、核を燃料として核分裂しながらエネルギーを放出している。
「何度くらいなの?」
子どもの興味というものは妙なところに宿るものだ。
「時や場所によって違うけど、1番熱い爆発の中心部なら4億度ぐらいにもなるわ。」
「??」
子どもはちんぷんかんぷんのようだった。今のうちはそれでいい。
「じゃあ人間は住めないね。」
4億度の熱さを理解しているような感想だった。(億なんていつの間に覚えたのかしら。)と疑問に思った。
「普通の人ならあんな所には住まないわね。あのお星様には放射能っていう怖いものもあるから。」
(子どもにはまだ早いか。)
案の定子どもはこの話題に飽きたのか、別のことを聞き始めた。
「これからどこへ行くの?」
母親は窓の外の星々を眺めて答えた。
「ずっと、遠くよ。」
そういうと、親子を乗せて火星から出発した船は、青い星の横を通り過ぎていった。
宇宙船 Kyo @iescape
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます