『祖父の手帳』
「祖母の死後」「祖母の」「部屋」で「私」が見つけたものは、「戦死」した「祖父」の「祖母宛ての手紙」と「手帳」でした。
それは「祖母」が、大事にしていた「祖父」の遺品です。
その「手帳」には亡き「祖父」の心の叫びとも言えるものが、書き留められていました。
何ページも、何ページも。
それは思いの丈を書きつらねるよりもずっと心に訴えかける「祖父」の気持ちでした。
我が子の顔も見ることなく逝った「祖父」無念さと、その「遺品」とともに生きてきた「祖母」のやるかたない悲しみを思う時、これはこの家族だけの悲しみではないことに気づきます。
この時代日本中、いえ世界中に同じ思いをした人が溢れていたのです。
そして、今現在も同じ悲しみに見舞われてる人たちがいるのです。
このお話しでは、祖父母の大恋愛の話しも紹介されます。
想いを貫いた二人の心の強さ、その後に降りかかる災難。
愛を貫こうとした若い女性はその後、どんな思いで独り子どもを育て生き抜いたのでしょう。
強くならざるを得なかったところもあるでしょう。
そこには孫の「私」には想像もつかないことがあったでしょう。
「私」は思います。
「沢山の感情を、心の中に閉じ込めたまま生きてきたのかな。」
「そんな人が、こんな大恋愛をしていたなんて……。」
そして、亡くなった「祖母」に対して「私」は思うのです。
「時をこえて、空間をこえて」「あっちで仲良く、幸せに過ごしていればいいな」と。
最後に一つここに書き添えるとしたら、これは「エッセイ、ノンフィクション」だというです。
筆者の「祖母」がしっかりと生きていけたのは、この「手帳」の支えがあったからかもしれないと思うのでした。
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緋雪様作
『祖父の手帳』より
祖父の手帳
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