最終回「サバイバル料理は格別だね」 「そうだね!!」


辺りは海やら森やらに囲まれていた…なんかすげえ自然だ。


「どうしようか…」


俺は近くにあった木の棒をもって砂浜に文字を書く。


「な、何してんだ?」


「ん?…SOS書いてんの」


そういうと彼女は俺のSOSを足で消した。


「な、何してんだよ!!仮に奴らにばれたら殺されるんだぞ!」


「で、でもぉ…」


俺はどうしようと悩んでいると


「そうだな…夜も来るだろう…拠点建てるか…」


彼女はまるでサバイバルのプロなのかのように言う。


「は…はぁ?!…俺何すればいいのかしらねーぞ?!」


そういうと彼女は


「任せて…さっきご飯を食べさせてもらったしそのお礼に作るから。」


…なんだろう…さっきと立場逆転している気がする。


まぁ彼女に任せるか…でもかなり時間はかかるだろう…ここで何か作れるものを…と考えていると海の方を見ると鳥が一つのところに集まっているのが見えた。


「…あそこらへん魚が多いのかな…」


魚…昨日っていうか前食べたしなぁ…


そう思っていると森の方から声が聞こえた。


「とったどぉ!!!」


…なんか聞き覚えあるな…無人島生活していた人たちやな…


「何をとったんどす?」


そう聞くと彼女は自信満々に答えた。


「熊!!」


「く…熊?…」


そこにあったのはまぁ…ビッグベアーやったね。


「これまたえげつない奴を…」


「ほら!!お前これ調理!!」


彼女は何を言ってるんだ?


「は?」


「だーかーら!!…お前は料理係だろ?!…早く!!おなか減ってるの!!」


彼女はストンと座って動こうとしない。


「りょ、料理って…器具も調味料もないんだぜ?…あ、あとクマの肉って獣クサくてかたくておいしくないで有名なんだぜ?…」


「ちょ、調理器具は…私が何とかする…お前は調理に専念しろ!!」


彼女は少し焦り気味にそういうと立ってどこかに言った。


…さてどうしたもんか…熊の肉?…まず硬い食感をどうしようか…


周りを見ると…なにこの木の実は…


そこにはなんかちっちゃいけど…一粒とって口に入れてみる…


「か…辛っっ!!」


な、なんだこの辛さ…この感じ…胡椒か?!


「売ってるやつよりも辛いぜ…」


とりあえずいくつか採って胡椒を臭み消しに使うとして…味は流石に何かしら…


すると彼女がやってきた…ってなんかめちゃくちゃ荷物背負ってる…


「な、なにそれ…」


そういうと


「鉄となんかおいしそうな実…匂いはそこそこするけど…この匂いどこかで嗅いだことあるから持ってきた。」


彼女はなんかの実をこっちに渡すとカンカンと石みたいなやつを打ち合っている。


「…今は旧石器時代なのだろうか」


俺はそうつぶやいて実を見ると…これニンニクじゃね?


ここ胡椒もあればニンニクまであるのか?…どういうことだ?…世はグルメ時代だとは言ったけど自然にも影響するのか?…


とりあえずニンニク…胡椒…あと何かしらのレパートリーは欲しい…


少し散策することにした…


「なんかないかな…」


辺りをじっと見ているとなんか肌色で麦みたいなのがゆらゆらと揺れている。


「これなんだっけ…麦?…あ、これ米だ!!…マジでこの島何でもありじゃねーか!!」


こんな島あったのかよ…まじでここでなら一生すごせるんじゃねーか?


とりあえず持てるだけ持って帰った…もしかしてここに昔誰か住んでた?


戻ると…うぉすげぇ…なんかフライパンみたいなものと火が起こされていた。


「お前すげえな…」


そうつぶやくと彼女は照れたように「ありがとう」と言った…いや可愛いな。


とりあえずフライパン擬き《もどき》を熱しながら米を大雑把に…なんていえばいいかな…なんか…米を米っぽくした…俺語彙力ないからわからないんよな…ってだから俺は誰に思ってるんだって話よ…本当にさぁ…


そうして海から水を持ってきて米をなんか鍋みたいなものに入れて炊いた…マジでこの少女役に立つな…いつもとあんまり変わらないもんな…


その間にクマを…はぁ…あんまり好きじゃないけど解剖する。


…ここは省略しよう。


まぁある程度分けれたところで血抜きしたお肉に胡椒をつけて…どうしようかな…そう思ったときににんにくがあることを思い出した。


俺はすぐにニンニクをつぶしてそれを肉に付けた。


残ったのはスライスしてお肉の油で揚げてチップスにするか。


それを豪快にフライパンにダイブ。


…うぉ美味そう。


あんまり鳥牛豚以外の肉なんて食べないから熊はなんか新鮮だ…まぁ確かに本当の意味では新鮮だけどさ…


ご飯は…まぁまだか…っていうか彼女がなんかご飯ガン見してた…よほどおなか減ってたんだね…


お肉は良い感じに焼けてるなぁ…やっぱりうまそうだな。


お肉をいったん取り出して冷ますとしてそこに彼女お手製の石(彼女は鉄って言ってた。)包丁でスライスして…てか使いやすいんだって…チップス状にして焼いた後のフライパンのところに入れた…うわ美味そう。



……


………


さて…できました。


さっきの後にお肉にニンニクもうひと塗りして焼きなおして炊けたご飯と一緒に食べるところまで行った。


「う、うまそうだな…」


俺はこんな状態でここまでのことができたと思うと少しびっくりしている。


「やっぱりあなたは上手だね…料理…」


「あんがと…んじゃ食べようか…これは…そうだな…サバイバルステーキニンニク添えと名付けようか。」


「名前なんて付ける意味あるの?」


彼女は不思議そうに聞いてきた。


「そうだな…星座に名前を付けるのと同じだよ。どんな料理も同じようで違う…俺たち料理人はこの名前を付けることで自分の証明ができるって思ってるんだよ。」


「そうなんだ…」


彼女は神妙にうなずいた。


そうしていつも通りの掛け声を


「「いただきます」」


いつもの一人寂しい掛け声じゃない…なんか幸せな気がした。


ご飯は…まぁいつもよりもおいしくはないけどいいんじゃないか?


お肉は…うめえな…いつものお肉よりおいしく感じる…ていうか彼女のお肉が噛みきれなくて頑張っているところが少し可愛いと思った。


「味変にこれ」


そうしてニンニクチップスを出した…お肉の上にかけて食べる…いやまじでうめえ…

太ってしまいそうだけどうめえ。


「これ美味いね!!!」


彼女は目を輝かせていた…なんか作ってよかったです。


「サバイバル料理は格別だね。」


そういうと彼女ははにかんだ笑顔でこういった。


「そうだね!!」


なんかいろいろあったけど前よりも今の方がとても楽しい気がする…それは気のせいではないようだ。


これからもこの生活に慣れていこうと思う。


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クマのお肉って硬くて匂いもきついらしいのでニンニクなどで臭みを消してからお食べください。

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暗殺者と暗殺されそうになった人が一緒になってサバイバル生活を始まるまで。 鬼雨とゐふ者 @moti0920

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