第44話
モーグトレントとの初戦は大失敗してしまったけどその後は順調に狩ることが出来ていた。
複数体との戦いを避けるためモーグトレントが出そうな場所まで来ると手当たり次第に木に鑑定をかけた。
どうやらモーグトレントの枝攻撃の有効範囲は本体から3mぐらいだったので鑑定でモーグトレントの位置を特定して一対一で戦えそうな位置のモーグトレントと順に戦っていくと危なげなく倒せていった。
たまに一対一で戦えそうなモーグトレントが見つからない時は、複数体いるモーグトレントを遠くから石を投げて倒して数を減らした。ただ投石は全然ダメージが入らないので一体倒すのにめちゃくちゃ時間かかる。
一体倒す頃には腕が疲れて上がらなくなる程だ。モーグトレント中心に数ヶ月戦いを続け、レベルも上がった。
name:ネール
age:11
job:農民 (29/100)
lv:37
exp:2608/489000
skill:投石lv.3 棒術lv.3
HP 75/75
MP 0/0
STR:55
VIT:47
INT:17
RES:17
AGI:36
DEX:38
めちゃくちゃレベルが上がりづらくなってきたけど少しずつ強くなってこれている。サファイアピアスの経験値5倍の効果がなかったら大変だったと思う。とにかくモーグトレントとひたすら戦うのみだ。
ゲームではマチカネ村周辺は主人公基準でまぁまぁ強い魔物、つまり僕にとってはかなり強い魔物が村周辺であればどこでも出現していたけど現実では森の深度によって出現する魔物が変わってきているようだ。
ゲームでマチカネ村周辺でよく出現していたマルモグトレントはモーグトレントの上位種だ。
モーグトレントが出て来たという事はこれ以上先に進むとマルモグトレントが出て来きそうな気がする。もしくはフォレストウルフの色違い上位種とか。
さすがに今の僕じゃ歯が立たないから安全を考慮して当分はこれ以上森の奥に進むのはやめとこうと決めた。
レベルアップに邁進し、地味だけど楽しい日々を過ごしてた。そんなある日、いつものように午前中は農作業の手伝いを行っていたのだけど何か様子がおかしかった。
うちの農作物は麦畑がメインだけど野菜も育てていた。僕がいつもの様に野菜に水やりをしていると畑の角っこの野菜が目についた。
萎れてる?その野菜に近づいてみると周りの青々とした見た目の野菜とは違い萎びていて、しかもなんだか紫色っぽい斑点がある。その野菜が生えてる根元の土も心なしか紫色っぽいような......。
麦畑で作業している父ちゃんに声をかけようと近づいた。
「ねぇ、父ちゃん」
「おう!どうしたネール。お腹すいたのか?お昼まではもうちょっとあるから辛抱してくれな!」
「いや、違うよ。野菜に水やりしてたんだけど隅っこの野菜が萎れてるみたいで伝えに来たんだよ」
「ありゃりゃ。萎れちゃってたかぁ。肥料が足りなかったのかな。まぁ、しゃーないな」
「それがさぁ、なんか変なんだよ」
「変?何がだ?」
「野菜に紫色の斑点があってさ。なんか土も紫色っぽいんだよね」
「なんだそりゃ。紫色って、まるで毒みたい......!!!」
話をしている途中で急に父ちゃんの顔が険しくなった。
「ネール!すぐにその野菜まで案内してくれ!」
「う、うん」
いつになく険しい顔になった父ちゃんからの叫ぶ様な言葉にびっくりした。
すぐに父ちゃんを萎れた野菜の前まで連れてくと父ちゃんは野菜の前で棒立ちになり、そしてみるみる顔色が悪くなっていった。
「ミュリーネ!ミュリーネ!!!」
突然母ちゃんの名前を叫びながら家に走っていった。父ちゃんの慌てる後姿を見て何か嫌な予感がした。
しばらくして母ちゃんを連れて父ちゃんが戻ってきた。母ちゃんもさっきの父ちゃんと同じ様に萎れた野菜を見て顔が青褪めていた。これは只事じゃなさそうだ。
「ミュリーネ!俺は今すぐ村の連中と話をしてくる!」と言ってすぐに村の方へ走っていった。
母ちゃんは僕に手伝うように言い、家から木の鋤を持って来て萎れた野菜を中心にし、野菜と一緒に紫がかった土ごと掘り起こし、いくつかの袋に詰めて家や畑から離れた場所に運んだ。
袋を一箇所に置いてそれを覆う様にたくさん薪を袋の上に置いた。途中何度か母ちゃんにどういう状況なのか訊ねたかったけど母ちゃんの鬼気迫る様な表情を見て躊躇した。
母ちゃんは油の入った壺を家から持ってきて野菜と土を詰めた袋とそれを覆う薪全体にぶちまけ魔法で火をつけた。
油は塩等と同様に辺境の村では凄く貴重な物だから驚いた。ついた火は次第に大きくなり、僕は立ち込める炎のゆらめきをただ眺めていた。
母ちゃんをチラっと見るといつも元気な母ちゃんとは違い悲壮感がただよっていた。母ちゃんに聞きたかったけど何か聞ける雰囲気じゃなかった。
魔枯病
地脈に流れる魔力が乱れ発生する植物の病
植物が紫色に変色し枯れる
燃え盛る炎の先にある野菜をイメージして鑑定をかけると野菜は病にかかっていた。その病名を更に詳しく鑑定してみると病気の詳細を確認できた。
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