第37話
「いやなに、君の事を部下や木こり達から聞いていてね。小さいのに一生懸命に手伝ってくれてるみたいだから何かお礼がしたいと思ったのだよ」
「お、お礼なんて、そんな!畏れ多いです。先程もお伝えしましたが報酬は充分に頂いておりますので!」
「ふふっ。まぁ、そう言わずに、感謝させてくれないかい?それに戦いを見せるのはこちらとして大して手間のかかる事ではないからね」
「......お言葉に甘えても、失礼に当たらないでしょうか?」
「もちろんさ。よし、それなら早速森に行って部下達の戦いぶりを見てもらおうか」
「ありがとうございます!」
大袈裟にぺこりと頭を下げるとゴーティは微笑んでくれた。横にいる木こりのおっさん達にちらりと視線を向けると副団長の前だから皆んな直立不動になってたけど僕の視線に気づくと「よかったな」って言わんばかりにニヤリとしていた。
やったぜ!心の中でガッツポーズをした。こんな機会滅多にないだろうからしっかり騎士の戦い方を目に焼き付けておこう。
テンションが上がりルンルン気分で鉈を手に持ったままゴーティの後ろについて行った。
森に近づくにつれ遠くの方で小さく村に響いていた、斧が木にぶつかる音が次第に大きくなり、カーン!カーン!と響いていた。
「よし。それではここから森に入るが、いつどこから魔物が襲ってくるかわからない。絶対に私から離れては駄目だよ」
「はい!畏まりました!」
ゴーティの後について森に入った。手前には所々切り株があり、少し離れて森の奥側の方で木こり達が木に向かって斧を振るったり、伐採して地面に横になっている木をソリの様なもので森の外に運ぼうとしている木こり達の姿があった。
そしてその更に奥で、作業する木こり達を背に騎士達が等間隔で森の奥側を見つめ警戒している姿があった。
騎士達は皆いつ魔物が出来てもいいようにか、腰に携えていた剣を抜いていた。
ゴーティは僕の歩幅に合わせてくれているのか歩きにくい森をゆっくりと進んでくれた。顔は怖いしガタイがいいから威圧感半端ないけど、見た目とは裏腹に優しい人なんだろうなって感じた。
ゴーティは一人の騎士に声を掛けた。
name:アドル・フィック
age:24
job:剣士 (19/100)
lv:34
exp:240/396500
skill:剣術lv.3 馬術lv.3 交渉術lv.2
風魔法lv.1
HP 320/320
MP 60/60
STR:104
VIT:82
INT:42
RES:46
AGI:98
DEX:102
-人物詳細略-
一回鑑定した事あったけど改めて鑑定してみた。アドルは騎士団5人の中で一番若くて能力値も低いが、それでも僕とほぼ同じレベルなのにステータス値は僕よりかなり高い。赤髪ショートのイケメンで凄くモテそうだ。
「お疲れ様です!副団長!あれ?その子はどうされたのですか?」
「ご苦労。実はこのネール君が騎士の戦いぶりを見てみたいとの事でな。毎日頑張って薪作りの手伝いをしてくれている彼への感謝として連れてきたのだ。アドル、お前の戦いぶりを見せてあげてくれ。マーウェル騎士団の中で一番の若手ではあるがお前なら騎士の力を充分にネール君に伝えられると私は思っている。頼んだぞ。......ちなみにネール君は我々騎士に憧れてくれているそうだ。幻滅、させてくるなよ?」
「っ!はっ!」
柔和な雰囲気だったのにゴーティの最後の言葉はかなり語気が強かった。アドルも副団長の言葉にプレッシャーを感じたのかピシッと背筋を伸ばしている。心なしかアドルの顔が若干青褪めてるような。ゴーティはもしかしなくても団員には厳しそうだ。なんかアドル君に悪い事しちゃったかな......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます