第31話

 ホーンセーブルという、うさぎのような魔物を倒す事が出来た。弱い魔物ではあったし、不意打ちの様な形で運が良かったのもあるかも知れないけど僕にとって大きく一歩前進出来たと思う。


 出来れば今日はもう一体魔物を倒しておきたいのだけど、手に持つ尖った木の棒を見ると、尖らせている部分が潰れていて、突き刺さす攻撃は出来そうにない。


 というか、ホーンセーブルの様な弱い魔物でさえ突き刺さす事が出来なかったわけで、はっきり言って魔物を突き刺して倒すのは無理っぽい。せっかく頑張って削って尖らせたのに、残念です。 

 

 ただ、棒で叩いての攻撃はダメージを与える事が出来ているので叩くのを主体に頑張っていこう。


 というわけで本日二回目の戦闘に臨むため森に入った。ホーンセーブルがいた場所とは、また別の方向に進む事にした。


 ホーンセーブルを鑑定した時に食用可の表示があったから本当は持って帰りたいんだけど、持って帰って父ちゃんや母ちゃんに魔物を持って帰った経緯を問い詰められるのが目に見えている。間違いなく外出禁止をくらうだろう。


 僕自身がこの場で捌いて食べるって言うのも無理で、そもそも前世を含め生き物を捌いた事なんて一度もない。捌くための道具もないし。勿体無いけどお肉は放置するしかない。


 そうなるとヨコヅナデビルの時みたいにお肉に釣られて他の魔物が寄ってくるかもしれない。なのでホーンセーブルと戦った場所とは違う方向に進んだ。


 先程と同じ様に雑草をかき分けると直ぐに雑木林に出た。慎重に辺りを見回しながらゆっくり進むとすぐに魔物を見つけた。またホーンセーブルのようだ。


 ホーンセーブルは先程と同じ様にゴソゴソしてる。さっきはある程度近づいたら見つかったから、ぎりぎり気付かれない距離まで近づいて、落ちていた石を拾って思いっきり投げつけた。


 投石スキルの影響か、はたまた偶然か、ホーンセーブルがこちらに気が付いたのか頭を上げたタイミングで投げた石が頭に当たった。石をぶつけられ結構ダメージをくらったようで、ふらついてるのが見て取れた。チャンス!


 走って一気に距離を詰め頭めがけて木の棒でぶっ叩いた。すると僕の渾身の一撃をくらったホーンセーブルは糸が切れた操り人形の様にばたりと倒れた。


 鑑定してみると、どうやら一撃で倒せたようだ。二回目の戦闘を終えて冷静になれた。僕って、もしかして結構強くなってる?普通に考えれば弱い魔物であれば十分余裕を持って戦えるステータス値だから気負ったりする必要はないんだ。


 だけどそれはあくまで弱い魔物に対してであって、まぁまぁ強い魔物だと苦戦する可能性は十分考えられる。


 弱い魔物には余裕を持って、でも強い魔物はしっかり警戒しながら戦っていこう。油断大敵だ。それにしてもまだ二回しか魔物と戦っていないとはいえホーンセーブルしか出ていない。


 ゲームではランダムで魔物がエンカウントしてたけど、もしかしたら森の手前であれば弱い魔物しかでないのかなぁ?


 とかなんとか考えているとまた遠くの方でゴソゴソ音が聞こえたので見てみると、またホーンセーブルだった。


 先程と同じように近づき石を投げつけた。今度は頭じゃなくて体に当たったけど、同じ様にふらついていたので距離を詰めてぶっ叩いた。


 一撃では倒れなかったので続きざまにもう一撃くらわせると倒れた。鑑定してきっちり仕留めた事を確認した後、辺りをキョロキョロ見渡した。


 不気味な程静かな木々が立ち並ぶ中、遠くの方でまたホーンセーブルらしき姿見を見つけ、同じように仕留めた。


 結局、この日ホーンセーブル以外の魔物は現れず、8体のホーンセーブルを危なげなく倒す事が出来た。

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