第9話
この世界がゲームの世界だと気づいて、あーでもないこーでもないと色々考えてみたものの結局農家の子供がどうしようとも何も変わらない、出来る事はないとの結論に至った。
主要キャラや主人公と出会う事はないだろうけどもし出くわす事があれば関わらないようにしようと考えた。関わることで物語の流れが変わって世界滅亡とか嫌だし。
決っして裕福という訳ではないけど今の生活は悪くないし農家として一生を過ごすのは嫌じゃない。
夕方になって父ちゃんが町から帰ってきた。丁度母ちゃんが晩御飯の支度が出来たタイミングだったので3人で夕食となった。
「いやぁ、町中で子供達のはしゃぐ姿を見てたら自分の小さい頃を思い出したよ」
「父ちゃんも小さい頃は、はしゃいでたの?」
「そうだなぁ。ノーザンの町の風景がすごくかっこよく見えてなぁ。なんだか町にいるだけで嬉しくなったもんだよ」
「へぇー、そうなんだ」
たわいもない会話を楽しみながらパンと野菜スープだけの質素な食事をした。
「父ちゃん、そういえば神様のお告げはどうだったの?」
「あっ!そうだった!実はサンテがな、ミノの息子だけど、お告げでステータスの数字が良かったらしくてな。領主様からの援助で学校に通えるかもしれないらしくてなぁ。ミノの奴、泣いて喜んでたよ」
「それは凄いじゃない!数年ぶりじゃないかい?」
「司祭様が言うには6年ぶりだってよ」
サンテ君ってノーザンの町に行った子供3人の中でひょろっとしてた子、だったかな?
ミノさんの子供だったんだ。とにかくめでたい。ステータスかぁ。
ん?そう言えば鑑定の銀輪使えば僕自身のステータスを確認できるかも?
夕食が終わりしばらくして就寝の時間になった。父ちゃんと母ちゃんが寝静まったのを見計らって鑑定の銀輪を腕にはめ鑑定スキルを使って見ることにした。
使い方は簡単で適当に自分のステータスが見たい!って念じたら使えた。
目の前に表示が現れるのかと思ってたけどステータスが頭の中に浮かんできた。
name:ネール
age:8
job:農民 (8/100)
lv:8
exp:1/100
skill:------
HP 15/15
MP 0/0
STR:8
VIT:5
INT:2
RES:2
AGI:5
DEX:6
うん。随分と能力値が低い。
因みに神のお告げでステータスの数字の良かったサンテ君のステータスを父ちゃんに聞いたらうろ覚えだったけど大体、僕の3倍ぐらいだったみたいだ。
サンテ君のレベルは10。この世界の人間は魔物や訓練を行なって経験値を得ずに何もしない場合でも15才まで1年に1つレベルが上がる。
つまり年齢=レベルになるんだけど15才を過ぎて訓練などを何もしなければレベルが15以上に上がる事はないみたいだ。
レベルについては999が上限なんだけど一般兵士クラスなら30ぐらい、英雄と呼ばれる人達で80ぐらいってゲーム内でそんな話がたしかあったと思う。
ラスボス戦の推奨レベルが80以上で主人公はストーリーを進めていくとそれに近い数字に勝手に達する。因みにレベルの上限が999なのはゲームクリア後に戦う事が出来る裏ボスの推奨レベルが800以上だからだと思う。裏ボスだけ極端に強くて意味わかんなかったんだけど。
能力値についてはレベルが上がるにつれて上昇するけど上がり方に作用するのがジョブシステムで、就くジョブの特性によって能力値に補正がされ上級ジョブに就くほど補正値が増す。
だけどどうやら同じジョブでも補正値に個人差があるみたいだ。
夕食の時に父ちゃんに聞くと、サンテ君もジョブは僕と同じ農民って事らしいし、一緒に神のお告げを聞きに行った2人も同じレベルの農民なのにサンテ君だけ能力値が高いって評価されたって事は同じジョブ、レベルでも能力値に個人差があるって考えるのが普通だろう。
ゲームでもキャラによって同じレベル、同じジョブでもステータスに若干の差があったから、そう言う事なんだと思う。
ステータスなんて便利な物があってもそこに表示されない才能の差って奴があるようだ。それでいうと僕には才能が無いって事になるんだけどね。ちょっと悲しい。
まぁ、でもその事が分かり、ますますもって主人公達の物語に関わらないようにし一農民として細々と暮らして行こうと思った。メインストーリーに関わって無用な戦いに巻き込まれるのは避けねば。
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