第10話
鑑定の銀輪で自分のステータスを見る事が可能だと確認した後、銀輪を使って暗い部屋の中のあらゆる物を鑑定してみた。
横でいびきかいて寝てる父ちゃんや寝ている母ちゃんのステータスも確認できた。
鑑定の銀輪は色々な物を鑑定できるようだったけどゲームで使用した際は開発秘話なんかが別に表示されていた。
現実(?)で使っても表示されない。
しかしゲームでも開発秘話や設定資料的な、なんかが表示されるのは特定の物や人物に限られていたから農家の家の物に鑑定の銀輪使っても表示されないのはしょうがないか。
そういえばあのピアスは確か開発スタッフのコメントが表示されてたような気がする。
ポケットに入れてたサファイアピアスを取り出して鑑定してみた。
サファイアピアス
装着者にEXP5倍取得の効果
どうやらゲームと違って鑑定の銀輪を使っても表示されるのは鑑定したものの説明ぐらいしか表示されないようだ。
この銀輪、どうしたものかなぁ。
売りたいんだけど、これかなりの貴重品だと思う。
ゲームだと鑑定なんか使わなくてもステータスとかアイテム、装備なんかの説明はウィンドウ表示で簡単に出て来たけど現実だとステータスは教会で結構な金額払わないと見れないしアイテムや装備も説明なんか表示されるわけもなく。
そもそもゲームに鑑定ってスキルは存在していなかった。必要なかったし。
この世界でゲームと同じように鑑定のスキルが存在しなかった場合、この鑑定の銀輪はかなりのレアアイテムになりそうだ。
安易に売っ払ってしまうと出どころを探られ鑑定に類似した神のお告げでステータス表示を独占している教会に僕が目を付けられる可能性がある。
ステータスやレベル、ジョブなんかのシステムがゲーム内で存在する理由ってメインストーリーに関係する事だし、それを扱う教会もぶっちゃけ中ボスが何人かいるので教会については極力関わらないようにしないと。
とりあえず鑑定の銀輪は普段人目に付かないようにしとこう。ぱっと見ただの燻んだ銀色の腕輪だから隠す必要も無いと思うけど、念の為だ。
サファイアピアスも同じように、経験値が増えるような装備はゲームではこれだけだったから万が一効果が知られると面倒くさい事になりそうだから隠しとこう。隠すと言ってもこっそり使う気なんだけどね。
僕は父ちゃんも母ちゃんも好きだし、農家の生活も、この土地も、村も好きだけど唯一不満がある。食事だ。いつも固いパンに野菜スープの生活。
素朴で味わい深いが流石に肉が食べたい。父ちゃんにも母ちゃんにも食べさせてあげたいし村の人達にも振る舞ってあげたい。
この世界の肉といえば魔物だ。魔物を狩らないと肉が手に入らないけど食用になる魔物は凶暴なのが多く、倒すにはレベルが足りない。
魔物を狩るのは主に冒険者の人達だけどこの村に冒険者ギルドはなく供給されないのでたまに村にくる行商人が売ってるめちゃくちゃ高い干し肉を買うぐらいしかない。
ノーザンの町には冒険者ギルドがあるそうだけど規模が小さく冒険者も少ないので狩られる魔物の肉は少なく、そのほとんどが大規模の街に売られてノーザンの町に卸される量がほんの少しだからやはり高価になる。
だから自分のレベルを上げて魔物を狩りたいわけだ。
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