第5話

 その後、母ちゃんにステータスについて色々聞いた。


 なんとかって宗派の司祭さんが行う儀式によって、目の前の空中に擦りガラスみたいな半透明の板が現れてそこに色々書いているらしい。


 自分だけじゃなく他の人にもステータスの内容は見えるから司祭さんがステータスの数値を見て「君は〜の才能があるかもね」みたいな感じでアドバイスをくれるそうだ。


 ステータス表示は触れる事が出来ないみたいで、母ちゃんも初めてステータスを見た時に手で触れようとしたけど空を切るだけで触れなかったようだ。


 母ちゃんの話を聞くにステータスにはレベルの表記や各種能力を数値化したものが書いてあるような感じみたいだけど、母ちゃんの説明がかなり曖昧で詳細はいまいちわからなかった。

 

 10才になると無料でステータスを見る事が出来るそうだけどそれ以外はお布施、つまりお金が必要で金貨一枚もかかるらしい。金貨一枚って言ったら僕ら家族3人が二ヶ月ぐらい生活できる程に価値がある。


 なんとなくの感覚で金貨一枚で10万円ぐらいだと思う。農家の生活水準は低いからね。


 だから母ちゃんや父ちゃんを始め平民はステータスを見る機会なんて人生で無料で見れるその一回切りなんてのもざららしく、興味もあまり持たないので詳しく知ろうともしないようだ。


 ただステータスの数値が飛び抜けていい場合、国からの支援を受けて学校に通ったり貴族に身請けされる場合もあるそうだけどそんなケースは滅多にないみたい。


 10才になると一回無料で受けられるのはなんとかって宗派の教えからだそうだけど、なんか引っかかるんだよなぁ。


 「ねぇ、母ちゃん。ステータスの数字がいい人って、どんな人なの?」


 「そうだねぇ。私が聞いたことあるのは貴族様や騎士様、あと兵隊さんとか冒険者をやってる人達なんかは数字が元々良かったり、ちょっとずつ良くなったりするそうだよ。戦ったり魔物を倒したりするとたまに数字が良くなったりするそうだよ」


 魔物倒してたまに数字が良くなるってそれレベルアップしたって事なのでは?


 魔法があってステータスがあってレベルがあるとかまるでゲームの世界じゃん。


 まさかゲームの世界に...?


 いやいやいや、ゲームって人間の創作物だよ?しかも前世の。


 そんなとこに生まれ変わるなんて事ないでしょ。...いや、でも宇宙は広いし、地球から何億光年先にある惑星がたまたまゲームっぽい世界観で、更にそこにたまたま僕がそこに生まれ変わったのかも?


 うーん、わからん。


 ゲーム、ゲームかぁ...。


 あれ?


 待てよ。なんか引っかかる。


 ゲーム、エルドール王国、マチカネ村...まさか!?


 僕は前世、山田恵一がプレイした、あるゲームを思い出した。

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