第3話

 前世の記憶を思い出して一週間が過ぎた。

 その間、父ちゃんや母ちゃんに色々質問した。


 僕らが住んでる村の名前や国の名前、歴史なんかを訊いた。それらはネールとして生きてる間に既に見知った内容も含まれていたけど改めて状況を把握するため質問してみた。


 流石に父ちゃんと母ちゃんの名前を訊いたときは頭を打っておかしくなったんじゃないかと心配されたけど。

 ちなみに父ちゃんはダグ、母ちゃんはミュリーネって名前。


 僕ら家族が住む村の名前はマチカネ村。大体人口100人ぐらいの村で村としてはまぁまぁな大きさだそう。


 石造りの防壁で集落を囲んでる所は町になるらしい。

 あとは商店があったり教会があったりすると石造りの防壁がなくても町となるらしく基準は結構曖昧でとりあえず町っぽかったら町になるらしい。


 普通、村は防壁がなく、せいぜい木の柵があるぐらいみたいだけどマチカネ村は柵がない。


 柵や防壁は魔物からの襲撃に備える為の目的がメインだがマチカネ村に近づく魔物は少なく、人口が増えて村をちょっとづつ拡張していく間にもともとあった柵を取っ払っちゃったみたい。


 魔物か。改めて聞くとファンタジーだな。やっぱりここは地球じゃないのかも。


 ちなみにマチカネ村から1番近い町は歩いて半日程の所にあるノーザンって所で僕は行ったことないけど父ちゃんや母ちゃんは月に1〜2度、畑で取れた野菜なんかを商店に卸に行ったりしてるみたいだ。


 その商店を営んでいるのが母ちゃんのお兄さん。つまり僕の伯父さんにあたる人でノーザンにある商店は母ちゃんの実家だ。


 僕が生まれる前にじいちゃんもばあちゃんも亡くなって伯父さん夫婦が後を継いだそうだ。ちなみに父ちゃん方のじいちゃんもばあちゃんも僕が生まれる前に亡くなってしまったそうだ。

 

 ノーザンから二週間程歩いた所には、ここら一帯を治める子爵様の住む大っきな街ダンスンザがあるそうだ。


 ダンスンザには学校があって父ちゃんも母ちゃんもその学校に通い二人はそこで出会ったのがきっかけで結婚する事になったとか。


 父ちゃんも母ちゃんも早くに両親を亡くした同じような境遇にお互い何か感じるものがあったのかも知れないなぁ、とか話を聞いた時そんな風に感じた。


 ダンスンザから更に更に行った所に伯爵様が住む街、その先に侯爵様が住む領都、更にその先に王様がすむ王都があるそうだけど、父ちゃんも母ちゃんもダンスンザの街より先には行った事がないそうでどのくらいの距離があるかわからないそうだ。


 地図なんてものも非常に高価で平民が目にする事は滅多にないらしく地理はよくわからないみたいだ。


 僕の住む国はエルドール王国。結構大きな国らしい。他にも国の詳細や歴史なんかも色々聞いたけど父ちゃんも母ちゃんも分からない事が多く曖昧な事も多い様だったのであまりしつこくは掘り下げなかった。


 ただ、気になったのがマチカネ村、エルドール王国という名称。


 ......なんかどっかで聞いた事があるような、ないような。


 ネールというよりも山田恵一として改めて考えると、何かその名称に引っ掛かりを感じた。

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