第2話
とりあえず今日は家でおとなしくしとけと父ちゃんにいわれた。
輪廻転生なんて信じられない体験をしてる事に気づいて混乱しているし、頭も痛いから素直におとなしくする事にしてベットに横になった。
しばらくすると混乱が治まってきたけど確認したい事がいくつか思い浮かんで来たので考える事にした。
ネールとして生きてきた8年間を山田恵一の記憶と照らし合わせて振り返ってみる。
まず確実なのは、僕は日本人じゃないってこと。
父ちゃんも母ちゃんも明らかに欧米人みたいな容姿だし、名前も横文字。
もちろん僕自身もそうで洋画に出てくる可愛い子役みたいな容姿をしている。
金髪、碧眼で愛くるしい顔立ち。
こりゃ将来、なかなかかっこよくなれそうで嬉しいぞ。いや、待てよ。期待するのはよしとこう。
子役時代可愛いくても大人になって残念な感じになっちゃった俳優さん結構いたしなぁ...。
まぁ、それはいいとして、他にも使っている言葉については理解して喋っているのだけど前世の記憶では聞いたことない言語だ。
うん。日本人じゃないのは間違いないようだ。
続いて今住んでる場所が何処なのか。色々考えたんだけど分からない。ややこしくしてるのが魔法の存在だ。
母ちゃんが竈門に火をつけるのに火の魔法を使ってるとこをよく見てるし、ネールも簡単な魔法なら大人になれば使えるわっていってたな。
前世と同じ世界なら例え死後数十年、数百年たってたとしても人が魔法を使えるようになるなんて前世の常識からは信じられない。
ただ転生なんて摩訶不思議な事が実際に起こっているのだから、もしかしたら前世の時代から数百年後にSF的でファンタジー的な事が色々あって人類は魔法が使えるようになったのかもって可能性もなくは無い、のか?
もしくは前世とは全く違う世界なのか。
うーん、いくら考えても分からない。とりあえず父ちゃんと母ちゃんにそれとなく質問して情報を集めてみるかな。
他にも色々考えてたら眠くなってきたので目を閉じた。
野獣の叫び声の様な父ちゃんのいびきがとなりのベットから聞こえて目を覚ますと部屋の中は真っ暗だった。
どうやら夜まで寝ていたみたいだ。
うちみたいな比較的裕福な部類に入る農家でも家の中を照らす灯りなんてものはない。
大きな商会の商人の家や貴族の家はランプみたいな照明器具で夜でも部屋を明るくする事が出来るって聞いたことがあるけど高価なので普通の平民の家には置いてない。
月が出てれば窓から月明かりが入って来てそれなりに部屋は明るいけど今日は新月で、空は晴れてる見たいだけど、夜空に月は浮かんでない様だ。
あっ、そうだ。星座でここが何処か確認できるかも。
星座に興味があったわけではなかったけど前世で小さい頃の息子が星が好きで休日によく家族でプラネタリウムに通っていたから、自然とどんな星座があるか覚えていた。
隣のベットで寝てる父ちゃんと母ちゃんに気づかれない様にそっと部屋を出た。
家の外に出ると風が肌寒い。今は春になったばかりで、まだまだ夜は冷える様で空気が澄んでるように感じる。
「すげぇな、こりゃ」
つい声が漏れちゃうほどに満天の星空に驚き、圧倒されそうになった。
北海道に旅行行った時に見た星空も凄かったけど、こりゃ比較になんねぇわ。
「小さい頃の裕一にも、見せてあげたかったなぁ。無理だろうけど」
ついつい息子の名前を呟き感傷に浸ってしまった。
いかんいかん。
それより星座を見ないと。
.........?
.........!?
.........???
.........。
覚えている星座に似た様にも見えるものがいくつかあるが似ているだけで記憶にある星座に当てはまるものはひとつもない。
そもそも、星が多すぎる。
2等星や3等星くらいの明るさの星が無数にあって日本、というより地球では考えられない。
......ここ、地球じゃなくて別の星なのかも。
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