野球部監督印南先生シリーズ

第1話 印南先生シリーズ １

野球部印南監督

　野村、右肩はいってんぞ。

タイミング合わせて、玉よーく見ろって。　自分の玉見てどうすんだ。ばかやろが

　長嶋、なんだおまえ、ソックス膝まで上げて。　なに？この方が客受けがいいんですって・・・じゃーしょーがねーな。

　おい、中村、ちょっとこい。あの花壇の近くで砲丸投げやってるやつ、見えるか？ そう、無駄に体でかいやつ。　あーいうおちょこちょいを、手なづけて野球部に入れろや。　案外いい球投げるかもしれんからな。　あん？なんだ？　あーあれは地理の安村先生か。　

道理で、生徒にしては、頭剥げ上がってると思ったんだよ。　安村先生もな、詐欺にさえ引っかからなかったら、今頃幸せな家庭を持ってたんだろうけどな。

婚約破棄は、痛かったよな。

　ん、あれ、おー、黒澤。　　亮太おまえ、久しぶりだな。どうした？　　　

うん、うん、おぉ、妹迎えに来たのか。　あーそうか、足ひねって自転車乗れんからな。

1週間だけこっちへ帰ってきてるんか。　　相変わらず、妹には優しいな。

それにしても、随分大人になって、どうなんだ、まだ、新宿でホストやってるのか？　なに、錦糸町に移った。　ふーん、新宿と錦糸町じゃどっちが偉いんだ。

新宿がハワイなら、錦糸町は熱海だ、　ふーん、どっちにしろ俺には縁が無いな。　ま、まともに生活してるんなら、それでよし！

お、妹呼んでんな。　気を付けて帰れよ。　なに、先生もEDには気をつけろって、ばかやろが。　気を付けてもどうにもなんないのが、俺の息子。監督不行き届きだっつの。

　俺、今うまいこと言ったな。　うん。　さてと、一服するか。　あれ、タバコ切らしたな。　しょうがない、よいしょっと。　　　　　　　

おーい、おまえら。何こそこそ、便所の陰に隠れてんだ。　火のない所に煙は立たぬっていってな、全部先生はお見通しだつうの。　

よこせ、隠したタバコ出してみろ。　お前も、だせや、隠してもしょうがないだろが、5箱も持ってんのか。まったく、なんだこれは、ザピース？　はぁ、ひと箱1000円もするんだぁ？　今の子供は、恐ろしいな。　大金掛けて自分の首しめるんか。

ん、じゃこれは、見なかったことにして、キャメルだけ没収な。　ぐずぐず言わんで、さっさと散れ散れ～。　寄り道すんなよ。

　さてと、（がさごそと、紙を取り出す）　名前書いて、印鑑押すと、終わりか。　離婚なんて、簡単なもんだな。ずっともち歩いてるから、ボロボロになちまったな。　まるっきりボロボロ、略してマルボロだな。

俺、今うまいこと言ったな。

＊音声配信アプリspoonのキャストに、音声化したものをアップしております。

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