第7話 別れ~いつもの日常


「さて、今度こそもう良いだろ? まぁ……なんだ……あんまり周りに迷惑かけないように女神やってくれ」

「ひど~い。その言い方、私がずっと迷惑かけてるみたいじゃない! ……もう、レイくんは良い男に育ってね♪」

「はぁ……はいはい。んで、お前はちゃんと女神様を抑えれるように頑張ってくれ……マジで」

「無茶言わないでよっ!? まぁ、レイの頼みだし? 出来るだけ頑張るわよ」

 

 渋々ながらも同意を返すディアに、マジで頼んだぞ!と心の中で唱えるレイモンド。そして、いよいよ天界に戻ろうとアウラが、

 

「さぁ、ディアそろそろ帰りましょうか」

「はぁい」

「じゃあレイくん、私達は帰るわね。もう少し大きくなったら良いことしましょうね♪」

「しねぇよ!?」

 

 レイモンドにウィンクしアウラは天界に帰って行った。そして残ったディアに向けて、

 

「まぁ……なんだ……、この二日間振り回されぱなしだった気もするけど、楽しかったよ。元気でな、……ディア」

「わぁ! 初めて名前呼んでくれた~♪ うん、ワタシも楽しかったよ! じゃあね、レイ! ~♪」

「……は? おいっ!」

 

 最後に不吉なセリフを残しディアも天界に帰って行った。しばらく茫然としていたレイモンドだが、考えても仕方ないと諦め家の中に入って行った。

 

********************


「ただいま~」

「レイちゃ~ん、おかえり~♪ ん~」

「だから、それは止めてくれっていつも言ってるだろ!」

(やっぱり元に戻ったら戻ったでうざかった!) 

「今日はもうお父さん帰ってきてるから、ご飯にしちゃいましょ」

 

 帰宅したレイモンドに抱擁&キスをしようとする母親の肩と顔面を押さえて阻止し、不満を投げ掛ける。レイモンドはいつもの母親の対応に安堵して良いのか落胆した方が良いのか判断に迷う。

 そして、そんなレイモンドの対応を気にすることなく母親は台所へ向かう。レイモンドも食卓へ行くと、

 

「レイ、おかえり」

「ただいま、父さん」

 

 父親に挨拶して自分の部屋に荷物を置きに行き、戻ってくると夕食の準備は整っていた。そしてみんな揃ったところで食事を始める。

 レイモンドはアウラが下界に降りてくる前のいつもの仲良く話をしている両親を見ながらこの二日間のことを振り返り……、どっと疲れが出てきた。主に精神的な面で。そうしてレイモンドが考えに耽っていると、

 

「どうしたの、レイちゃん? 好きな子でも出来た?」

「いや、何でもないよ。その辺の女の子に声かけてる父さんじゃあるまいし」

「ちょっ!? レイ、何言ってんの!?」

「どういうこと? ねぇ、あなた?」

「いや、違うんだよ母さん! この間のは女の子が道に迷ってそうだったから声かけただけだって!」

 

 いつも通り母親の意識を父親になすりつける。そして、しばらく言い合った後またイチャイチャしだす両親と、この二日で出会った愛の女神アウラと天使見習いのディアのことを思い浮かべレイモンドは思う。

 

(やっぱり愛ってよくわかんねぇ……)

 

― 完 ―

 

 

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愛の消えた街 禁煙大佐 @non-smoker

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