第6話 解決?


「ん~、一週間くらいで元に戻ると思うわよ?」

「一週間……か」

 

 レイモンドは昨日今日の両親や、周りの人々のことを思い浮かべた。


(一週間も続くのは嫌だなぁ……)

 

「もう少し早く戻すことは出来ないか?」

「ん? 私が天界に帰ったらすぐ戻ると思うわよ?」

「……そうか」

 

 それならとっとと帰ってくれ、と思うも流石に口にはしない。しかし、早く帰ってもらいたいレイモンドはどうしたものかと考える。

 

「それで、いつまでこっちにいるつもりなんだ?」

「そうねぇ……、目ぼしい男は見付けたからもう目的は果たせたし今日のうちに帰るわよ」

「そ、そうなのか? まぁ、それはこっちも助かる」

「だって、あと数年はダメって言われたもの」

「目ぼしい男ってオレのことかよっ!? 勘弁してくれ……」

「ちょっと、アウラ様! レイはアタシが先に目を付けたんだから取っちゃダメですぅ!」

「お前まで何を言い出すんだ……」

 

 しばらく大人しくしていたディアがレイモンドは自分のものだと主張し出した。しばらくの間、女神と天使見習いの言い争いが続けられたが、当の本人は諦観の表情で話を聞き流していた。

 

********************

 

「おい、もうそろそろいいか?」

 

 しばらく放置していたが、このままではいつまで経っても終わる気配が見えないので、レイモンドは二人を止めに入ることにした。

 

「腹減ってきたし、もう帰りたいんだ」

「そうねぇ、じゃあ行きましょうか。レイモンドくんの家に」

「いや、天界に帰れよっ!」

「ぶぅ。でも、お家までは送らせて頂戴ね」

「そうよっ! 子供一人で帰るなんてダメよ!」

「お前が言うな、チビッ子…」

「チビッ子じゃないもん!」

 

 結局3人でレイモンドの家の前までという条件で帰路につくことになった。道すがらアウラとディアにいろいろと質問されたり、死後に使徒にならないかと勧誘されたりと、レイモンドはやはりここでも後悔することとなった。

 

(やっと家に着いた……)

 

 ようやく家の前までたどり着き、レイモンドは安堵のため息を漏らす。

 

「よし、家に着いたし元気でな」

「レイくん、ひど~い。せっかく送ってあげたのにぃ」

「レイのはくじょ~もの~!」

「はぁ……、さっきまで散々しゃべったじゃないか」

「レイくんは淡泊ねぇ。でも、ちょっとだけ待ってね」

 

 アウラは言うや否やレイモンドの額にキスをした。するとレイモンドの身体が一瞬だけ光って消えた。

 

(何だ? 何か暖かいものが中に入って来たような…)


「大したものじゃないんだけど、私の加護を貴方に与えたわ」

「……は? 加護?」

「ええ、本当に大したものじゃないから気にしなくていいわよ」

「そう言われると逆に気になるんだが……。まぁ、いいか」

「じゃあ次はワタシから~♪」

 

 と言いながらディアがレイモンドの顔面にしがみつき、アウラと同じように額にキスをした。何か変化があるのかとレイモンドはしばらく待つことにした。しかし、特に何も起こることなく時間が過ぎて、息が苦しくなりディアを引き剥がした。

 

「ぷはぁ……。いつまで人の顔にしがみついてんだよ! で、特に何も感じなかったんだが何かしたのか?」

「ぇ? 特に何もしてないよ? しいて言うならマーキング?」

「人を勝手に自分のもんにしようとするんじゃねぇ!」

 

 どれだけ自分はこの二人に振り回されなければいけないのか頭を抱えたくなるが、もうそれももうすぐ終わるからと自分を奮い立たせるレイモンドだった。

 

 

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