連鎖する呪縛

ささやかながらも穏やかで幸福な日常が理不尽に奪われ踏みにじられる。
どこの世界でも日常的に起きている悲劇です。
しかし、その当事者にとって……特に生き延びてしまったものにとって、生存者としての罪悪感と喪失の苦痛とどう向き合うかは「ありふれた」ものではあり得ません。
たいていは理不尽の原因となったものに憎悪を向ける事で自我を保つわけですが、復讐を果たした先にはその憎悪すら残る事がないわけで。
結局は憎悪が新たな憎悪を、復讐が新たな復讐を招き永遠に連鎖する呪縛の中に人々を次々と引きずり込み続けるだけなのかもしれません。
願わくば生き延びた幼子が憎悪以外の生きるすべを見出せますように。