ポエティック
結騎 了
#365日ショートショート 046
「ねえ、お母さん。カーテンが笑ってるよ」
母は驚いた。先ほどから息子が窓際にいたのは知っていたが、まさか、こんなにも詩的な表現を思いつくなんて。
窓を開けていたため、外からはゆっくりと風が吹き込み、カーテンをふわりふわりと揺らしている。暖かい昼下がりの日差しも、布地に緩やかな陰影をつけている。あの様子を指して「笑っている」だなんて。とっても素敵じゃないの。
「あなたは本当にいい子ね。将来が楽しみだわ。お母さん、嬉しくなっちゃう」
これはご褒美だと、母は息子に飴をひとつ手渡し、キッチンに消えていった。
息子は不満げな顔で窓際に戻る。
「お母さん、台所に行っちゃったよ」
「はっはっは。だから言ったじゃあないか。カーテンが喋るなんて、誰も信じないって」
ポエティック 結騎 了 @slinky_dog_s11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます