モテる友達

「ハマは誰が好きなんだよ」

 修学旅行の夜、男子高校生たちは恋の話で盛り上がる。


「俺は……。青山さんが好きだよ」

 ハマは5人の友人に囲まれながら暴露した。

 友人達は騒ぎ出す。長崎に届く波の音より大きい声。


「なんで青山さんが好きなんだ?」

 小柄なハマとは反対の、細長い手足を持ったモテ男の浅井が訊いた。

「せ、清楚っぽいじゃん?」

 ハマが答えると浅井以外の4人が笑った。

 

 笑い声に紛れさせた小さな声で浅井が囁く。

「それなら止めておいた方が良い」

 

 この一件から二人の仲は悪くなる。修学旅行を終える頃には口も利かないありさまだった。

 ハマはその後、青山さんと付き合った。しかしすぐに別れてしまった。


「清楚じゃなかったろ? それどころか……」

「ウン……。悪かった。ごめんな浅井。でもなんで分かったんだ?」


「女子は歩き方で分かるんだ」

「お前、まるでソムリエじゃん……」


「そっか……。じゃあソムリエらしく、お前にいい子を紹介するよ」

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インスタントフィクション 400文字の物語 蓮見 七月 @hamamotocaesar

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