第6話 返済までは......

「ただいま~!」


「お帰り~、進!お疲れ様~!」


 容子は、深夜遅く帰宅した同棲相手の進を玄関でハグした。


「今日は忙しかったよ~。厨房とホールを何往復した事か!」


 そう、容子の同棲相手の進は、先刻、千鶴子と会っていたレストランのマスターだった。


「私の顔が広いから、売り上げは鰻上りでしょう?でも、まだまだ借金返済までは遠いわね!」


 交友関係の広い容子は、友人が失恋する毎に、レストランで失恋話の聞き役に徹し、失恋した女友達は、もれなく給仕してきた進に夢中になり、レストラン通いをするようになる筋書きが出来上がっていた。


 もちろん、容子と進が同棲している事は、身内にすら伝えてない極秘事項だった。


「それまでは、恋人募集中の独身貴族を装って、稼ぎまくるか~!」


「私が子供生めるうちに、キレイに返済してくれないとね!」


 お店の借金を晴れて返済した暁には、2人は結婚する予定でいる。

 ただ、それに伴い、レストランが経営不振に陥るのを避ける為、周囲には極秘を貫く可能性も有るのだが......



     【 完 】

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