後輩とチョコレート:先輩!落とし物ですよ!『落ちているのは私です♡ 拾って貰えませんか?』

ケイティBr

先輩!バレンタインチョコ落ちてましたよ!

「先輩!バレンタインチョコ落ちてましたよ!」 


「え? 僕はチョコなんて落としてないよ?」


「いいえ。落ちていました。これです!ちゃんと先輩の名前が書いてあります!」


季節はバレンタイン


いつもは桜が咲くには早い時期だけれど

今年は早咲きをしていて、薄い桜の色が付き始める並木道。


僕は見知らぬ後輩に声を掛けられた。


どうやら目の前の活発そうな女の娘は、チョコを拾ってくれたらしい。


僕は、坂谷 武龍(サカヤ タケル)高校2年生だ。


自慢じゃないが、バレンタインなんて行事はいままでの人生で関係の無い事だった。

チョコに罪はない。だからバレンタインを嫌いだとは思った事はなかった。

決して強がりなんかじゃない。


「・・・・・・本当に?」


「はい。タケル先輩へって書いてあります♡」


確かにタケルと書いてある。けれど僕には心当たりがない。

今までバレンタインチョコなんて母親と妹からの義理チョコしか貰ったことはない。


「えっと・・・ありがとう?」


「はい♡ それともう一つ落とし物があります」


「もう一個? まさかチョコ?」


「落ちているのは私です♡ 拾って貰えませんか?」


頬を染めつつ、とても愛らしい笑顔の後、上目遣いで知らない娘はそう言った。


「・・・僕は君の事を知らない。好きになってくれている理由がわからないよ」


「先輩がわたしの事を知らないのは分かってます。

だから、まずはわたしの事を知ってもらえませんか?」


「ありがとう。嬉しいよ。まずは友達からよろしくね」


「やった! それじゃ、早速INNで交換しましょう?」


「えっ・・・いやそれ、ホテルの略称だよね? ホテルでナニを交換するの?」


「ホテルで男女が交換する物なんて、一つに決まってるじゃないですか♪ 先輩♡」


「・・・・ごめんなさい。初対面でそんな事を言う女性は怖いです。さようなら」


流石に怖すぎる。もしかして嘘告ってやつだろうか・・・

僕はそういって知らない娘から去ろうとする。


すると彼女は・・・・


「あぁ♡これが好きな人に捨てられる感覚!!とても興奮します!ハァハァ♡」


振り返ると彼女は恍惚の表情を浮かべていた。

正直・・・ドン引きだ。


「わたし、マナミって言いますっ! 愛するに美しいでマナミです!

覚えていてくださいねっ!」


うん。こんな娘を忘れられる訳がない。

君の企みは成功してるよっ。とってもね!


僕が初めて告られた後に振った女で、将来付き合う事になる彼女との出会い。

この薄い桜色と共にずっと僕の記憶に刻まれるに違いない。


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変態なマナミとは、そのまま分かれたけれど。

チョコは何だかんだ貰ってしまった。


拾ったと言っていたが、

あの流れだとマナミからのバレンタインチョコって事でいいんだよね?


「さて、このチョコどうするか・・・・・手作りチョコだと怖いよな。

ナニが入ってるか分からない」


なんかイケメンが主人公のラノベで、手作りチョコは

女の子の髪の毛や体液が入ってるかも知れないから食べれない。


その場合は

『人から貰った物は食べない様に親から躾けられてるんで』

と言って断るんだったか?


あまり覚えてないが。そういう話しを読んだ気がする。


へー? 貰えない男共を煽ってんのか? と思ったけれど

振られて興奮する様なマナミをみると・・・確かにやりかねない。


「とりあえず開いてみるか」


お、既製品のチョコそのままだ。というか北海道で有名なルイーズのチョコだ。

このチョコちょっと高いけど好きなんだよな。嬉しい。


それとメッセージカードが付いている。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

タケル先輩へ


突然この様な形で手紙を渡してしまいごめんなさい。


この手紙を読んでいる時、

わたしはあなたと結ばれているか振られているかしているでしょう。

家族にも、緊張すると変な事をやってしまう子だとよく言われています。

なにか粗相をしていないか自分で心配です。


結果がどちらになっていても、わたしはきっと満足しています。

このチョコレートにはナニも入っていないので安心してください。

新鮮で生なチョコです。


もし振られていたとしても、友達として今度サイゼでデートしましょう。

わたしは[ザイセで喜ぶ彼女]の素質があります。拾い物ですよ?


お誘いの返事は、タケル先輩自身の口からお返事を頂きたいと思っています。

わたしはタケル先輩が好きです。


マナミより

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ありがとう・・・マナミ」


嬉しいよ。でもそんなに安全だと強調されると逆に心配になる。

わざとなんだろうけど。


「ザイセいくか。マナミがどうして僕の事を好きになったのかも聞きたいし」


ちょっとエッチで性癖が変だけれど

彼女は名前の通り、人を愛し愛される事で美しくなる。

そんな彼女とのラブストーリーはここから始まった。


-----------------------


あとがき


バレンタイン企画用の投稿となります。

いかがだったでしょうか? 


もしちょっとでも続きが気になる。面白い。マナミちゃんがもっと知りたい。

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後輩とチョコレート:先輩!落とし物ですよ!『落ちているのは私です♡ 拾って貰えませんか?』 ケイティBr @kaisetakahiro

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