第3話
家に着くと僕はすぐにベッドの上に寝転んで、夕食の時間に呼ばれるまでずっと今日の告白のことを考えていた。
やはりあの告白は本当だったのだ。
たとえあの告白が本当だったとしても、もう過ぎてしまったのだ。自分はこのキャラを守ることを選択したのだと気持ちを落ち着かせようとした。
それでも、考えれば考えるほど、これでよかったのだろうかと不安になってくる。
キャラを壊す危険を冒してでも、僕も好きだとあの子にちゃんと返事をしたいという気持ちが強くなった。
次の日学校に行ってみると、いつもの女の子のグループがあの子を囲み、告白の真相を聞こうとしていた。
彼女たちは昨日の昼休みは校長先生(僕の学校の校長先生はとてもフレンドリーだ)のところに押しかけて、いろいろとおしゃべりをしていたらしい。その計画を前々から立てていたにもかかわらず、あの子が急に用事があると言ってどこかに行ってしまったらしい。
しかし、どんなに聞かれてもその子は図書館に行っていたとしか答えなかった。
僕は取り返しのつかないことをしてしまったと悟った。後悔しても遅いのだ。やはり、もう過ぎてしまったことなのだ。
その後もその子とはグループ内の一人としての交流は続いた。けれど、ついにその告白のことをあの子が口にすることはなかった。もちろん僕も。
僕は六年生の1月に、周りでは珍しい中学受験を経て、遠く離れた田舎にある全寮制の私立中学に入った。そしてもちろん、その後はあの子と話をすることも顔を見ることもなくなった。
いまでも僕は、あの日なぜあんな選択をしてしまったのかと後悔している。僕は、あの時、あの子の前で自分の「キャラ」にとらわれているべきではなかった。どんな危険を冒してでも、自分の気持ちを正直に伝えるべきだった。
もしあの子と気持ちが通じあえたとしたらどんなにしあわせな日々になっただろうと想像する。
あの子と二人だけで何かおしゃべりできたりしたら、どこかに一緒に行けたりしたら、どんなに楽しかっただろうって。
初恋は失恋した方が成長する @tatamarin
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