第2話

こはく「……私、翔くんと別れる」

奏馬「急にどうしたんだよ?!」

こはく「もうダメなの、翔くんとはもう付き合えないの…」

奏馬「理由は?」

こはく「…翔くんどんどん人気になっていって有名になっていって私との恋愛を今よりもっと隠していかないといけなくなるし、デートだってまともに出来ない…私、翔くんのお荷物なんだよ、邪魔者なの」

奏馬「翔がそう言ったわけじゃないから大丈夫だって!!」

こはく「…私はそう思えないの」

奏馬「こはく…」

こはく「…大丈夫って思えないの」

奏馬「別れて後悔しないのか?」

こはく「…多分」

奏馬「翔はどんな理由でも納得しないと思う」

こはく「分かってる。だけど、どうにか納得してもらって別れる」

奏馬「……こはくがそれでいいなら」

こはく「うん、ごめんね、奏馬くんと翔くん仲良いから少しの間は気まずくさせちゃうけど」

奏馬「俺は別にいいんだけどさ」

こはく「ありがとう。じゃあ、翔くんに別れ話してくるね」

奏馬「…分かった」

こはく「それじゃあ、また」


私は翔くんに別れを告げるために近くの公園に呼び出しました。夜だったから空はすっかり暗くなっていて星も見えていました。


こはく「あ、翔くん。ごめんね、急に呼び出しちゃって」

翔「こはく、どうしたの?」

こはく「えっと…あのね…」

翔「うん」

こはく「…別れよう」

翔「え」

こはく「…翔くんは私と一緒にいない方がいいんだよ、きっと」

翔「俺はそんなこと思ってない!!」

こはく「…ごめんね、別れよう」

翔「ごめんね?俺の何が悪かった?言ってくれたら全部治すよ!!」

こはく「…別れたい」

翔「…こはく、ちょっと待ってよ!!」


翔くんは涙目になりながら必死に私の腕を掴みました。私も、耐えることが出来ず、おもわず涙が零れました。


こはく「……ごめんね、今までありがとう」

翔「どうしたの?俺のこと嫌いになった??」

こはく「…」

翔「こはく、答えて欲しい。もし嫌いになったのなら俺、もう諦めるから。俺のこと、嫌いになっちゃった?」

こはく「……うん」

翔「…そっか。ありがとう、ごめんね」

こはく「…ありがとう」


私が“嫌いになった“と嘘をつくと翔くんは疑うことなくその言葉を信じ、掴んでいた私の腕を離しました。私はその日、涙が止まりませんでした。次の日のお仕事も有給を使って休んで、一日中ご飯も食べずに泣きました。その次の日以降はお仕事には出勤出来ましたが食欲もあまりなく、死んだような日々を送りました。


─ 数日後 ─ こはくの家


こはく(…もう夜の9時か。今日はお仕事休みだったけど何もしなかったな。泣いて、寝て、泣いて、寝て…この繰り返し。そういえば今日ご飯食べたっけ)


〜♪


こはく(…電話?…あ、奏馬くんだ)


こはく「…もしもし」

奏馬「あっ、こはく!久しぶり」

こはく「奏馬くん、久しぶりだね。翔くんから聞いた?」

奏馬「あー…うん、本当に別れたんだな」

こはく「うん」

奏馬「…そっか」

こはく「…えっと、今日はどうしたの?電話かけてきて」

奏馬「あーいや、こはくがちゃんとご飯食べてるかなって思ってさ、お前、こういう時ご飯とかあんまり食べなくなるじゃん??」

こはく「よくお分かりで、さすがだね」

奏馬「ご飯は絶対に食べろよ!体調崩したら大変なんだから」

こはく「ありがとう、ふふ、なんか奏馬くんってお母さんみたいだね」

奏馬「はぁー?俺がお母さんだって??」

こはく「冗談、冗談だよ!!」

奏馬「けど、なんか笑ってくれてよかった」

こはく「え?…あっ、たしかになんか久しぶりに笑ったかもしれない」

奏馬「よかったよかった」

こはく「ふふ、ありがとう!!」

奏馬「…あのさ、こはく」

こはく「うん??」

奏馬「俺と付き合わない??」


«続く»

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いつか有名になっても。 姫森なつな @k_happy8_

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