見極める

 批判ばっかりだな、この世は。ろくなものにならねえな、そんなことばっかり言っていたら。かくいう儂も同様か。情けないのお。心は成長するものかと思えば、9歳ころから全く変わっておらん。9歳の頃がいくらかましだったかもしれん。前の世は瓦礫の隙間から人の命を奪っては、その命がなんたるかを想像できないひどいもんだった。来世ではもっとましなものになっていればいいが、もう生まれ変われんかもしれん。人だった気もするが瓦礫だったかもしれんしな。瓦礫だった儂にはなんの罪もない…なんて逃げの口上。退化し続ければいいさ。いずれ2つの目もなくなるだろう。その方がよく見えるかもしれん。いかに人間が愚かなのかを。今の世のままで死すれば心は傷だらけだろう。この情報の屑のなかで、それがあたかも現実なんだと思わせる魔術。いらんことばかりに目を向けさせる。根っこが腐ればもう修復しようがない。新しい苗を買うまでだ。


そんなでもまだ人間は捨てたもんじゃない。


そのように思いたい。


見上げた空にある星も現実。


そのことを思えば…もっと生きやすくなるはず。


この世は捨てたもんじゃない。


まだ間に合う。

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