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「あ…」
そこまで考えて、私は、ある事を、思い出した。
ー小夜は、花言葉などを含めた知識から、花を活ける技術まで、その全てにおいて卓越しておりー
「ああ、そんな、そんな事って…」
私の眼から、止めどなく、涙が溢れる。
それは、二十数年に渡って、秘め続けて来た想いが、堰を切って、溢れ出た瞬間だった。
「杉田君…?大丈夫?」
小夜の母親が、心配そうな表情で、私の背中を優しく撫でる。
「…何で」
ー何で、あなたは、逝ってしまったんですか。
涙が、溢れて止まらない。
それはもう、私の意思ではどうしようもなくて。
ー何で、あの時も、今も、さよならの一言も、言わせてくれないんですか。
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