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そんな馬鹿な。


あの時の事は、しっかりと覚えている。


何せ、互いに花を贈りあおうって約束をしていたのに、彼女は家の事情で、急遽その土地を離れる事になり、約束を果たす事が出来なかったのだから。


苦い思い出として、今でも刻み付いている。


思い違いな、訳がない。


「そんなはずはないです。先輩は、確かに金木犀が好きだと言っていました」


「ほんとよ。だから、私はてっきり、小夜と杉田君は仲違いしていて、嫌がらせで金木犀を供えたのだとばっかり…」


一体、どういう事なんだ。


あの日、小夜が、私に嘘をついていたとでも言うのだろうか。

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