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「残念ながら。中々良縁に恵まれなくて…」
縁談の機会は、何度かあった。
しかし、その全てを、私は悉く断っていた。
「そうなの…。何だか寂しいわねぇ…」
一人、連れ添う人もなく旅だった小夜。
私も、いずれ一人で、旅立つ事になるのだろうか。
「あ、そう言えば。
杉田君、何で金木犀なんかお供えしたの?」
小夜の母親が、思い出したように私に尋ねる。
焼香を終えた後で、彼女の棺に、金木犀を供えに行った事を言っているのだろう。
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