5

「やーね、そんな訳ないでしょ。

あの子だって、もう四十だったんだから。

ほんと、結婚もしないまま、行っちゃうなんて…」


「小夜先輩、結婚してなかったんですか?」


「そうよ。高校卒業してから、ずっと恋人もいなかったみたいだし。

もてない訳じゃ、なかったと思うんだけどねぇ」


小夜の母親の言う通り、彼女は寧ろ異性の目を惹く方で、もてない、なんて事は決してない。


高校の時だって、華道部のマドンナとまで言われていて、私だって、密かに想いを寄せていた時期もあったぐらいだ。


最も、私では到底釣り合わないと悟って、その想いは、早々に諦めたのだが。


「杉田君は?結婚してないの?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る