3

「そうですね。もうそのぐらいになります」


「今日はありがとうね。まさか、杉田君が来てくれるなんて、思わなかったわ」


「当然ですよ。高校以来、連絡はとっていませんでしたが、今でも小夜先輩は、私の尊敬する先輩ですから」


花が好きで、華道部に所属していた彼女は、花言葉などを含めた知識から、花を活ける技術まで、その全てに卓越しており、尊敬の念は、未だ消えずに、私の中で残っている。


「久しぶりに、小夜先輩から連絡が来た時は驚きましたけど、久しぶりの再会が、棺桶の中になるなんて…」


一週間程前、急に私の自宅宛に、郵便物が届いた。


差出人は、萩原小夜。


肝心の郵便物は、イベリスの花束に、小さなメッセージカード。


そこには、一言


『あなたの好きな花を、送ります』


とだけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る