2


「ちょ…、ちょっと待って…!」


後ろの方で、私を呼び止める声が聞こえた。


「はあ、はあ、やっと追いついた…」


六十代ぐらいの女性が、息を切らしながら、私の元に駆け寄る。


「小夜先輩のお母さん…。お久しぶりです」


その女性は、私の高校時代、同じ華道部の先輩だった、萩原小夜のお母さんだった。


「っはあ…。ほんと、久しぶりねぇ。もう、二十年ぶりぐらい?」


私も、今年でもう三十八歳。


萩原小夜のお母さんと良く顔を合わせていたのは、高校を卒業するまでだから、確かに、あれから既に、二十年以上が経っている事になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る