絵本カフェ【尻尾屋】でアルバイトを始めた、この物語の主人公。
自分より、少し歳上にしか見えない店主からの、リアクションの取りにくい返事とか冗談に翻弄され、彼の痛い発言にメンタルをガリガリと削られながらも、張り切って仕事をがんばろうとしていた。
そう決心した矢先、主人公の不注意によるものか、はたまた……。
一冊の絵本がパサリと床に落ちてしまった。
主人公がその絵本を拾い上げ、視線を上げると、そこに立っていたのは……?
絵本から現れたプリンセスを前に、唖然としながらも、努めて冷静さを保とうとする主人公がかわいらしい。
結婚後の倦怠期かとも思えるほどの、王子様の愚痴をこぼすプリンセスもそう。
そんなふたりを中心に、絵本カフェ【尻尾屋】で繰り広げられる騒動も、暖かくて微笑ましい。
そして、プリンセスの鬱憤を、素敵な想いに昇華させた、店主の作るランチが、とても美味しそうなのである。
この物語を読むと、こころがほんわかして優しくなれる気がするのは、わたしだけではないはず……。