第17話

「ゆう…なのか…」

「浩平!久しぶりだな。ちゃんと覚えてるか?」

冗談交じりに悠は問いかけてくるが久しぶりの再開に言葉を失ってしまう。

「あれ?ほんとに覚えてるのか!?」

「ああ。ちゃんと覚えてるよ…!」

くそ…最近涙もろくなってしまった。これでもう2回目だ。それこそ中3の時のように。まるでタイムスリップしたかのように、2人は疲れきるまで話した。

「それでさ、あの時俺、振られてさ────」

「なあ、少し気になったんだけどさ、なんかお前ら距離近くね?」

「まあ、一緒に住んでるなら当然じゃないか?」

そりゃ何週間かでも一緒の部屋にいたら少しでも距離は近くなるだろう。なぜそこに疑問を持つのだろうか。柚葉の方を見ると、何か言いたげな顔をしている。何をそんな焦ってんだよ。


「え?お前ら一緒に住んでんの!?」

悠が驚いた顔で俺を見つめてきた。

(もしや…)

2人同時に柚葉に視線を送る。

「な、なにかな?」

柚葉が「私か弱い女の子だよぉ?」っていう顔をしている。誰が見てもそう思うだろう。

先に声が出たのはやはり、実の兄、悠だった。

「柚葉ぁこれは、一体どういうことだ?」

「いやぁ、これは───」

柚葉は、今までの経緯をすべて話した。

「まあ、柚葉らしいっていえば柚葉らしいけど、責任感持ちすぎ。あと、もし浩平がどうしようもない変態野郎だったらどうするんだ、今頃、大変なことになってるぞ?」

「それは俺に失礼だろ!」

「ごめんごめん、これは冗談のつもりで」

「お前が言うと冗談に聞こえないっての」

「それで?妹よ、何か言うことは…?」

「うぅ…ごめんなさい」

「よろしい。ま、これで水に流すから、後は楽しくやっておくれよ。じゃあな」

と言い残し悠は、帰っていった。…となるはずがない。


「おいおい、俺らの昼飯買ってきてくれたんじゃないのかよ」

「あーごめん、冗談だよ」

「おい、今のは普通に忘れてただろ」

すると、柚葉が話に割って入ってきた。

「え!本当に、うなぎ買ってきてくれたのー?にーちゃん優しいぃ」

「てか、熱出てんのにうなぎとかおかしいだろ」

「って言いながら、悠は買ってきてくれるけどな」

「まず食べよ食べよ!せっかくにーちゃんが買ってきてくれたんだから」

柚葉が急かすので、3人は早速食べ始めることにする。


「ごちそうさまでした」

「いやぁ…こんな贅沢久しぶりだ!」

「じゃ、俺は帰るね。忙しくて」

「そうだったのか、ごめんな」

「いやいや、久しぶりに顔見れてよかったよ」

久しぶりの再会だったが、何とかうまくやれてほっとした浩平だった。



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【祝!!ブクマ3桁突破!】家に帰ったらS級美女がいたんだが、俺の妹だと言っている。 さーお @aoao3ka

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