02

 白鷺学園があるところに着いたけど、何もない。というか目の前にあるのは普通の家のような気がするんだけど、地図によるとここである。


「シキ、本当にここなのかな?」

「…何かしらの術の気配がするので合っていると思いますが。」

 2人でぼんやりと立っていると、中から僕と同じ学校の制服を着た女子生徒が出てきた。もし、この人の家とかだったらどうしようと不安な気持ちでいたら、彼女は良かったといった。


「遅かったから心配したよ。入って!」

 彼女が僕とシキの腕を引く。一歩中に入ると景色が変わった。ただの一軒家だったはずが、大きな校舎へと変わっていた。


「人除けと幻術の組み合わせですか。」

 シキは納得したようにつぶやく。そこまで驚いていないようだ。僕はかなり驚いてしまったので、なんとなく悔しい。


「ふふふ、驚いた?君が転校生だよね!私、一ノ倉小梅。1年生のリーダーしてるわ。」

「僕は七条優史です。かなり驚いたなぁ。」

「シキです。特に驚いてません。」

 シキが素直に言ってしまったので、それにも驚いてしまった。一ノ倉さんは特に気にしていないようでふふふと笑っていた。


「あ!そうだ。私たちの担任の先生、今日は任務でお休みなのよ。だから私が代わりに来たの。」

「先生も忙しいんですね…。」

「そうね。教師か任務かどっちかにしたいって毎日言っているわ。でも、両方こなしてしまうくらいすごい人なんだから。」

 一ノ倉さんは先生のことを尊敬しているのだろう。どんな先生なのか早く会ってみたいな。


 一ノ倉さんについていくと教室ではなく、運動場に連れて行かれた。みんなはもう授業を受けているようだ。遅刻はしていないはずなのに、どうして皆早いんだろう。


「授業を受ける時間は自分で決めていいのよ。ほとんどが寮で暮らしている子たちだから、早い時間に授業を受けて午後は自分の自由時間だったり、任務をしている子もいるわね。」

「え、学生のうちに任務があるの?」

「そう。いつだって人手不足だもの。ただ、任務に行くのは先生の許可が必要よ。その子が対処できそうか否かの判断は先生がしているの。」

 僕もいつかは任務に行くのだろうか。僕の体質的に難しいような気もするけど…。


 ぼんやりと考えていると、シキが僕に耳打ちをした。


「優史様が1人で行くのは次期当主様が許可していないですし、私も心配なんでやめてくださいね。」

 にっこりといい笑顔で言われた。わかっているけど他の人から言われると悲しいな。だからね、シキ、慰めるように肩をたたくのはやめてほしいな。


 一ノ倉さんはそんな僕とシキの様子を暖かく見守っていた。

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式神に溺愛されて、今日も生きている 九十九まつり @tsukumo_matsuri

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