第3話

 村の女性は、勇者が呪いで弱体化されている事を仲間達から聞かされた。


「そうだったの……」


 女性は、勇者をその場に座らせて仲間達からの話を聞くと、俯いたまま考え込んだ。


「分かったわ……」


 そう返事した彼女を見たメンバー達は、そのまま彼女が村に立ち去るのだと誰もが思った。


「私が、彼(勇者様)の代わりに戦います!」


「ええっ!」


 誰もが驚いた表情で叫んだ。しかも彼女は勇者をお姫様抱っこした状態で立ち上がったのだった。更に彼女は、勇者が装備していた剣を背中に装備する。


「さあ皆さん、行きましょう!」


 何故か彼女が仲間達に指示を仰ぎながら出発する。


(わあ……村の女性に抱えられながらの旅って、恥ずかしいな……)


 仲間の誰しもが、そう感じていた。


「あ……あの、僕……1人で歩けます」


「ダメです勇者様、無茶はいけません。貴方は私が命に換えても護って見せますから。安心して下さい!」


 彼女の話を聞いた仲間達は(恥ずかしい……)と、誰もが思った。


 道を進んで行くと、前方に魔物が現れた。


「勇者様、避難して下さい!」


 彼女は「とおぅ!」と、叫び声を上げながら勇者を上空高く投げ飛ばす。


「ひえええーー!」


 勇者が上空に投げ飛ばされている間に彼女は、剣を抜き取り瞬時に魔物を切り倒した。


「おお、すごい!」


 一瞬の早技で魔物を切り倒した彼女は、落下する勇者を受け止める。


「勇者様、大丈夫でしたか?もう邪魔者は居なくなりましたよ〜。フフ」


 彼女を見た仲間達は、何故……こんなに強いのに、さっきはかよわそうにして居たんだ?……と、不思議な眼差しで女性を見つめていた。


 女性に抱き抱えられた勇者は内心(俺、もう家に帰りたい……)と、思っていた。

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最弱勇者の冒険 じゅんとく @ay19730514

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