第26話 時政、軍略を告げること
「まず第一の目標は、
と、時政が頼朝に代わり、軍略を語り始めた。
「山木判官
まずは山木判官を討ち、伊豆一国を手中に収め、天下に対して源家嫡男、兵衛佐殿ここにありと、名乗りをおあげいただく」
大きく貼りあわせた紙を、庭の中央の
「
「おおッ」
用意の周到さに、一同は感嘆の声をもらし、太首をつらねて絵図面を覗きこんだ。
「伊豆国は先の乱の首謀者、源仲綱公の勢力下。さような事情から、山木は代官となって以来、乱ある事を予見し、防備を固め、
周囲には垣根、門口には
「堀端に取りついて、まずは
「櫓が落ちれば、堀を渡り、館内へ侵入する。橋もおろす」
武者たちは絵図面をなぞり、懸案をつぶさに論じあった。
綿密な役割分担が決められた。
「いつやる」
盗っ人に行くような
「二日後の、十九日早暁」
時政が答えた。
◆
――ところがその晩、異変が起こった。
北条屋敷の湯殿で、山木館の
実はこの男、北条の
もし朝になってこの男が山木館に帰り、いつもと異なる物々しい北条館の様子を口外しようものなら、密事はたちまちに露見する。
捕まえて、閉じ込めておくことになった。
一方また、閉じ込めておくにしても、この男が館に帰らねば、山木は異変を感じるに違いない。
時政は、ただちの夜襲を献言した。
渋々――頼朝はこれを許した。
「ただし、夜明けまでには必ず、事を終えねばならない」
今日が十七日。
あくまでも十八日の
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