第11話 たまにはこういうテンションも悪くない
「というわけでキャンプです。はい、拍手。わーい!」
パチパチパチ、と凜ちゃんは拍手する。わーいとお愛想程度に俺たちも拍手する。
キャンプ場到着後。受付をすまし俺たちは割り当てられたキャンプ設営ゾーンへとやってきていた。
「よし。じゃあ始めますか。まずはキャンプ設営だね」
「ん。そうだな。二つあるし、二手に分かれるか?」
「そーだね。じゃあ私と武瑠、陽ちゃんと愛美のペアでやろっか」
「りょーかい」
そして各自適度な距離を取り、キャンプ設営を開始する。
「私キャンプ初めてだから設営とかあまりよくわからないんだけど……一応事前にキャンプ設営のやり方みたいな動画は見てきたけどさ……」
川瀬が申し訳なさそうに手を挙げて言う。
「心配ないよ。設営のやり方わからないなら聞いてくれ。教える」
「ほんと? 助かる」
川瀬は顔をぱあっと輝かせる。俺は頷き、雑談もそこそこに二人で作業を開始する。キャンプ設営者は初めてだと言う川瀬は手間取るだろうと思っていたが、そんなことは無くてきぱきとこなしていた。もちろん、時折聞いてくることはあるもののそれは微々たるものだった。結果、他の二人より早く終わった。
「おお……なんか感動的。あんなに小さくまとまってたのが完成するとこんな大きくなるなんて」
「そーだな。にしても初めてって言ってたけど全然そうは見えなかったぞ」
「そう? じゃあ、何回も設営の動画見て予習してたのが役立ったってことだね」
川瀬は嬉しそうにピースサインをする。動画を見てやり方を覚えても実際にそれを実践するというのはなかなか難しいが……さすが川瀬といったところか。
「私より谷口の方がすごいよ。私が分からなくても聞いたらすぐ教えてくれたし。慣れた風だったけどキャンプには結構来たことある感じ?」
「ん。そだな。中学生まで毎年一回は家族とキャンプに来てた。まあここ数年は行ってなかったけどね」
「へーそうなんだ。じゃあ今回久しぶりのキャンプなのか」
「そういうこと」
そして少しの間俺たちは休憩がてら話した後、まだキャンプ設営が終わってない二人を手伝いに行った。
「終わった終わったー!」
キャンプ設営が終わり凜ちゃんはんー、と大きく伸びをする。
「さて、では諸君。次の予定を発表します」
凜ちゃんが芝居がかった風に言う。俺たちはそれに合わせてゴクリ……と息を呑んで合わせる。
「みんなお待ちかねバーベキューだー!!」
凜ちゃんは大きな声でそう宣言した。俺たちはおおおお! と拍手し盛り上がる。俺たちのキャンプはこれからだ! ……なんか変なテンションになってしまった。が、たまにはこういうのも悪くないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます