第521話 お互いの距離感

1幕 プライバシー


奥さんの実家で、義理の母親・奥さん・(奥さんの連れ子の)娘さん・自分の4人で暮らすことになった谷やんhttps://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927862611559073


谷「まじ、ヤバかったっス」


俺「何が?」


「田舎の家って"ふすま"じゃないスか」


先日、中2の娘さんがお泊まりで不在・義理の母親も出掛けていたので


谷やんと奥さんは、久しぶりに二人きりで夕方からイチャイチャしていたらしい


晩御飯を済ませ、シャワーを浴びたあと


谷やんは寝室に向かい、上は着たままパンツだけ脱いで、シーツを掛けて奥さんを待っていたそうだ


夜8時。


奥さんに「すぐ行くねー」と言われてから、数分もしないうちにササーッと襖(ふすま)が開いたので


ニヤニヤしながらシーツをめくりかけると


「これ、谷さんのねー」


居ないはずの義理の母が洗濯物を置いて、すぐ出て行ったそうだ


ドキドキが止まらずパンツを履き直していると奥さんが入ってきた


「なんか母ちゃん帰ってきたー」


「知ってるよもう!!いま会ったよ!!」


「・・・なに慌ててんの?」


パンツ脱いでスタンバイしてたとは言えなかったらしい



2幕 金城くん(28)


俺「『子供が困ったときだけ頼ってくるってのは、本当だな』ってセリフが映画にあってな。笑ってしまった」


金城「あーわかります」


「いやいや、独り者の君が分かっちゃおかしいでしょ笑」


「Tさん。『全部話してしまえ。気が楽になるぞ』なんて格好つけて真相を聞いた後に『やっぱり聞かなきゃ良かった・・・』って後悔するくらい、ズシンと重いもの背負わされた事、ないですか?」


「あるよ何度も」


「それと同じですよ」


「ん?どういうこと?僕もいろいろ相談されたから、気持ち分かりますよ~って事?」


「困った時に頼ることのできる人って、生活相談センターみたいなものですよね」


「あー、まあね、聞く側はね」


「相談センターが拒否したらどうなります?行き場のない悩みや不安が積み重なり、人格を破壊します」


「なんか大層な話になってきたなぁ・・・笑」


「そう感じるのは今、Tさんに大きな悩みが無いからです」


「いやいやそんな事ないけど・・・」


「人の手を借りるまでの問題は、無いでしょ?」


「まあ、それは」


「経験を積んできたTさんだからこそ、余裕を持って日々のことをこなしていけるのです。そんなTさんには、常に我々部下の拠り所になって戴く使命があるのです」


「お、おう・・・わかった。もっとお前らのこと、気にかけるわ」


「宜しくお願いします」



3幕 金城くんと宮里くん(25)


宮里「よくあんな調子の良い事いうねー」


金城「調子が良いからじゃないよ。ああいう雑談にこそ本質がある」



4幕 居酒屋にて


宮里「・・・と、そんなことを金ちゃんが言ってました」


俺「ほう。アイツらしいなぁ」


「でもなんかヨイショされてるというか。調子の良いこと言いよってー!って思わないですか?」


「ふふ。部下に言いくるめられる。これも拠り所の仕事」


「あ、そういうものなんですか?俺はダメですね~馬鹿な事しか言わないから」


「逆にお前は正直でストレートだから、信用できる」


「そうですか!有難うございます!!」



1幕に戻って谷やん(34)


「まじ、ヤバかったっス」


「何が?」


「田舎の家って"ふすま"じゃないスか・・・」



5幕 U部長(44)


俺「こちらから話しかけるのではなく、向こうから話しかけてきてもらう。部下が話しづらい俺では上手くいかないし、一体感も生まれないということよ」


U「じゃあ私も言っていいですか。ウチの連中、放し飼い禁止の公園でリード外されて大喜びしているイングワー(犬)どもが、馬鹿みたいにあっちこっち走り回ってるんだけど、たま~に我に返ってご主人様のところに戻ってきて『ワン!』とだけ言って、またダダーッって走っていくように見えますけど」



正解( ̄▽ ̄;)

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