第6話
セイラちゃんは、無事大学に合格した。
そしてオレも留学が決まった。
二年間離れ離れだけど気持ちが通じあって
いるから寂しくない。
やれるだけのことを精一杯頑張ってこよう
と思う。
オレはなぜ留学をしたかったかというと、
語学力を高める為とあともう一つ、海外の
洋楽が大好きだからである。
いずれは、英語だけの作詞をしたい。
ギターも好きだからもっと勉強する。
とにかく日本とまた違った曲の雰囲気を味
わいたい。
作詞作曲ができるようになったら最高だ。
留学をしてみてわかった。
やっぱり来てよかった。
背中を押してくれたセイラちゃんには、感
謝だ。
時差があるものの、お互い自国用の時計と
相手の国の時刻の時間二つの時計を用意し
て、今何時かわかるようにセットした。
だから、夜中に電話とかのハプニングも起
きない。
セイラちゃんも、大学順調って言っていた。
特にピアノの練習に励んでいるそうだ。
祐一郎君も毎日頑張っているみたいだ。
それぞれが夢に向かって頑張っている。
ー二年後ー
たくさんのことを吸収して大満足のオレは、
帰国して真っ先にセイラちゃんに抱きつい
た。
あ〜
セイラちゃんだ〜。
ずっと電話とかパソコンとかでやりとりし
ていたけど、やっぱり直接のセイラちゃん
が一番いい。
帰国して落ち着いた頃祐一郎君から相談を
受けた。
実は路上で歌の実力を試してみたいと。
そして以前アカペラでオレたちに披露して
くれた曲を英語に直して歌いたいと。
うんうん。
祐一郎君歌手になるの夢だったもんな。
体型も維持してるじゃないか。
オレは早速歌詞を書き換えた。
次の日祐一郎君がうちに遊びに来た。
セイラちゃんも。
「琢也先輩、セイラさんから聞いたんですが
ギター上手いんっすよね?」
「そんなことないけど…」
「弾いてもらえたら嬉しいっす。」
子供みたいに目をキラキラさせてくる祐一
郎君…
「ならさ、祐一郎君歌ってよ。セイラちゃん
伴奏ね。オレそれに合わせて弾くから。」
昨日書いた歌詞を渡した。
「わー、楽しそう」
「うす!」
ギターを弾き出すと、セイラちゃんがそれ
に合わせて伴奏。祐一郎君が歌い出す。
みんなほとんど即興。
でも、息がぴったりだった。
うわ…さらに歌に磨きかかってんじゃねー
か。
音色がもう楽器のようだ。
ギターを弾きながら鳥肌が立ったのが自分
でもわかる。
そして曲が終わった。
「うわー、マジ鳥肌っす」
「それは、こっちのセリフだから。」
「いやいや、先輩方‼︎最高じゃないっすか。
なんで今まで二人ともできるの秘密にして
たんすか?」
「いや、別に秘密ってわけじゃないけど」
「一緒に組みましょうよ!」
思いがけない誘いだった。
でも、歌好きだし一緒にチャレンジするの
も悪くない。
セイラちゃんも楽しそうなんてノリノリだ。
そして曲を披露することになった。
すると予想もしないことに。
曲を弾き出すと、ちらほら歩いているひと
たちが足を止めた。
さらに祐一郎君が歌い出すと共に、キャー、
やばくない⁈なんて声が聞こえてきた。
そしてあっという間にお客さんに囲まれた。
マジか。
ここまでなんて想像してなかったぞ。
で、オレたちの評判はあっという間に広ま
りついには有名な会社からのまさかのオフ
ァー。
そしてデビューを果たしてしまった。
おデブだったオレが痩せてセイラちゃんに
始めは、気づかれもしなかったあの頃。
祐一郎君がオレに痩せたいって相談に来て
くれたあの頃。
全ては、おデブから始まりオレも祐一郎君
もおデブ脱退からのデビュー。
セイラちゃんも殻を破り明るさを取り戻し
たあの頃…
全ては、すでに動き出していたに違いない。
祐一郎君は、こんなにとんとん拍子に事が
うまく運んでいいのかなんて言っていたけ
ど祐一郎君ずっと頑張ってきたじゃないか。
それが今認められたのだ。
オレはデブだったけど痩せてモテるように
なった。
しかし、その状況に流されないで自分の思
いを貫き通してこうしてセイラちゃんに巡
りあえて本当によかったと思う。
セイラちゃんは、容姿だけで判断せずこの
オレを太っていても受け入れてくれた。
セイラちゃん、ありがとう。
これからもよろしくね。
おデブなオレが痩せてモテまくりだけどどうしても幼い頃優しくしてくれたあの子が忘れられない 猫の集会 @2066-
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