隣国の姫君

「この戦争の理由だが、我が息子レオの婚約についてだ。元々、婚約者を希望したのはOdd王国の姫だったのだ。」


 Odd王国の姫か。どんな子か少し気になるな。と思いつつ話を聞いていた。


「息子は最初、しぶしぶ了承したのだが、見合いの時に心変わりしたようで婚約したくないと告げたのだ。」


いや、何があったし。


「婚約前だから姫の名誉が傷つかない前に別れを告げるための伝書鳩を送ったんだ。相手の姫は怒り狂ったそうだ。」


「陛下、失礼ながらその姫の名前を伺ってもよろしいでしょうか。」


「名前?たしか、ワカサだったはずだ」


 ワカサ!?もしかして前世、私たちのクラスの学級委員だった人?出席番号奇数の人だ。


 そこで私は違和感を覚えた。evenって偶数って意味があったはず。oddも奇数って意味だったよね……?


 もしかして、偶数組がこの王国に、奇数組がodd王国にいるってことになる。


 ワカサは前世レオとよく喋っていたものの他のクラスに彼氏がいたはず。もうレオに乗り換えようとしてるの?


 そんなことを考えていたら陛下の話は終わった。


帰り途中、馬車に乗っている時にハルネから


「ねぇ、もしかしてワカサって学級委員の?だとしたら彼氏持ちだったのにやばくない?てかなんでここに」

と言われた。

「マナトもミノリもここに来ているからワカサもここに来てる可能性は否めないよ。」

と返した。その後は世間話が続いた。



 家に着いたあと、いつもどおりの日常を過ごした。ご飯を食べて、お風呂に入って。そして眠りについた。



 翌日、魔法と武術の稽古があったため、練習場に向かった。すると、マナトとミノリの2人がいた。


 「いつもは一緒にいないのにどうしたの?」

 「ワカサのことなんだけどさ……」

 

 そうミノリが口を開いた。


 ミノリとワカサはクラスですごく仲が良かった記憶がある。でも、敵対してしまった今、思い詰めてしまうのはしかたない。


 「婚約の話、聞いた?ワカサ、レオのこと狙ってるみたいだよ。」


 まさか。彼氏がいたことを必死に思い出す。前にもそんなことを思っていたが、的中してしまうとは。



 正直、ワカサは可愛いし、性格もいいため誰からもモテる。でも、そんなワカサが彼氏を捨てるなんて。


 「カレシ、捨てられたんだとよ。なんでも転生後のカレシが貧乏層の平民らしいぜ。」



 マナトがそう説明する。


 ワカサって身分で判断する子だったの……?いくら転生後の身分が酷かったからってそんな酷い扱いをする人ではなかったはず。



 あまり信じられなくて話の内容が頭に入ってこなかった。


 稽古が終わったあと、街に出かけることにした。




 馬車を使い、街に着くとそこはとても賑わっていた。どうやら戦争に勝ったことを祝う祭りをやっているみたいだ。



 せっかくなので、屋台で売っていたパウンドケーキを買った。ふわふわしててとても美味しい。



 街中を歩いているとレオがいた。向こうも気づいたらしく、こちらに向かってきた。


 「ごきげんよう。皇太子陛下。」


 そう言って頭を下げる。元はクラスメイトとはいえ、一応王子様だしね。



「よ、ハルカ。この祭り楽しんでるか?」


「おかげさまで。」


「そこでなんだが、一緒に回らないか?」


 えぇぇええ!?お誘いが来るとは思っていなかったため驚く。その表情を見て面白がったのか


「オレと一緒に回るの、嫌か?」


 怒られた犬みたいにしょんぼりしながら言う。そんな可愛いとかずるいじゃんか。


「へ、陛下がよろしければ、ぜひ回らせてください!」


 焦ってそう返す。変な感じになってないかな?



 まさか隣に歩いてくれる日が来るなんて。そんな感じで回っていた。とっても楽しくてワカサのことなど忘れてしまうほどだった。



 でも、そんな楽しい時間はすぐになくなってしまった。



 後ろからいきなり


「だーれだ♥」


 と、レオに飛びつく人物がいた。女子の声。私が聞きまくった声。


そこにいるのは、ワカサだった。


「は?おい、何やってんだよ!?」


レオがそう言う。それに対してワカサは


 「何って、大好きなレオに会いに来たの!ワカサ、レオのこと諦めてないからね。」


嘘でしょ、断って戦争まで起こしたのにまだ諦めてないの……??


 「それにしてもー、こーんな地味子ちゃんと一緒に回ってるなんて、レオやっさしー!ワカサだったら耐えられなーい♥」


 は、何言ってんのこいつ、そう周りが思っていた。なぜなら、私のいる公爵家はオシャレで有名なため、地味という言葉が全くにあわないのだ。


 場が冷めた瞬間、レオはワカサを振りほどき、

「おい、お前そんな最悪なやつだったんだな。ハルカはお前が思ってるより地味じゃないぞ」


 そう、レオが言った。もしかして、庇ってくれたのだろうか。


 「で、でも、そいつより私の方がお似合いに決まってるじゃない!そいつは所詮公爵家の人間、私は王族なのよ!?」


 「俺、身分で人の価値決めないから。てか、不快。出てけ」


かっこいい。そう思った。


 「わるい、気分悪くさせちゃったよな。お詫びとして今度一緒に出かけないか?」


今度は驚かない。


「喜んで!!」



 私はそう言って、その後楽しく過ごした。


 帰ったあと、私はレオといつ出かけるかを考えた。楽しみで楽しみでたまらなかった。


すると、レオから手紙が来た。



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起きたらクラスみんなが転生しちゃいました!〜公爵娘は無双する〜 抹茶レモン @machalemon

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